『エイリアン:ロムルス』は誰もが楽しめる! “往年の名作の続編”の中でも突出した完成度
リドリー・スコットのもう一つの代表作『ブレードランナー』に通じるテーマも
ホラーゲーム的な面白さで見せてくれたかと思うと、今度は『エイリアン2』(1986年)的な銃撃シーンでカタルシスもたっぷり。『エイリアン4』的なグチャドロ描写も見せつつ、エンドロールまで突っ走る(ただ最後の『エイリアン4』っぽいアレですが、監督本人的には意識していなかったそうです)。おまけに映画全体を通じて『プロメテウス』(2012年)と『エイリアン:コヴェナント』で物語の中心として描かれ、リドリー・スコットのもう一つの代表作である『ブレードランナー』(1982年)にも通じるテーマである、「人間」と「人間のような機械=アンドロイド」の恐怖や哀愁、絆までも入れてくるのだから、もはや「お見事!」と言うしかない。119分の中にこれだけ詰め込むとは、映画体脂肪は10%以下である。 本作は『エイリアン』シリーズの魅力を余すことなく詰め込んだ作品だ。しかし、かと言って往年のファン向けのサービス映画ではなく、今を生きる若者たちへ向けて、最新の技術と手法で一級品のスリラーとして作られている。近年のハリウッドに多い「往年の名作の続編」系でも、突出した完成度だ。老若男女、エイリアンのファンも、「エイリアンとは何ぞ?」という方も、劇場の暗闇で119分の宇宙サバイバルを体験してみてほしい。きっと最高のエイリアン体験ができるはずだ。それにしてもエイリアンに触れてこなかった人が、これを観てどう思うかが本当に気になって仕方がない。映画も楽しいが、いろんな人の感想を読むのも楽しい。まさに極上のエンターテインメントである。
加藤よしき