フィギュアスケートの〝セクハラ疑惑〟に新展開 韓国女子のエース・李海仁が競技会に復帰
【ベテラン記者コラム】フィギュアスケート界を揺るがした騒動が新たな展開をみせた。 〝セクハラ疑惑〟で3年間の資格停止処分を受けた韓国女子のエースで19歳の李海仁(イ・ヘイン)が、競技会に復帰する道が開けた。韓国での報道によると、ソウル東部地裁は11月12日、李海仁が申し立てていた資格停止処分の効力停止を求める仮処分を認めた。 李海仁は2022-23年シーズンに四大陸選手権で優勝し、世界選手権で銀メダルを獲得。10年バンクーバー五輪金メダル・金妍児(キム・ヨナ)の後継者として脚光を浴びていた選手だ。しかし、今年5月下旬、イタリアのバレーゼで行われていた韓国代表合宿中に飲酒したうえ、女子の宿舎を訪れた年下の男子選手にセクハラ行為をしたとして、大韓スケート連盟から3年間の資格停止処分を受け、8月29日に処分が確定した。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪への道が閉ざされるという重い処分だ。 一方の男子選手は女子の宿舎を訪れたことが規律違反として、けん責処分にとどまった。李海仁に比べると、かなり軽い処分になっている。同室にいて2人の写真を撮影していた劉永(ユ・ヨン)は1年間の資格停止処分を受けた。 李海仁は合宿中に飲酒したことについては反省しているが、男子選手とは恋人関係にあり、セクハラ行為には当たらないと主張。「年下選手へ性的加害を加えた犯罪者」とされた汚名をそそぎたいとし、3年間の資格停止処分の撤回を求めて提訴した。 2人はもともと恋人で、いったんは別れたが、男子選手から復縁を迫って再び交際したという。今回の騒動は代表合宿中に複数の選手が飲酒したことが発覚したのが発端。処分を恐れた男子選手が矛先をかわすために、セクハラをされたと虚偽の告発をしたのでは-との見方も広まっていた。そこで9月になると、男子選手が代理人を通じて「李海仁選手の行為は犯罪には当たらない」と、擁護する旨のコメントを発表していた。 李海仁は今季のグランプリ(GP)シリーズには第1戦スケートアメリカと第4戦NHK杯にエントリーしていたが、資格停止処分のため出場できなかった。処分の一時停止を受け、11月28日開幕の国内大会に出場する予定だという。ようやく競技会に復帰し、今季初戦を迎えることになる。処分の無効を求めて大韓スケート連盟を提訴した訴訟は続いている。
GPシリーズ第2戦スケートカナダとNHK杯で表彰台を独占するなど好調な日本女子と対照的に、李海仁と劉永を欠いた韓国女子は苦戦しており、昨季世界選手権銅メダルの金采衍(キム・チェヨン)も第3戦フランス大会で4位に終わった。近いうちに「セクハラ疑惑」騒動が集束し、韓国勢の巻き返しがあるのだろうか。(牧慈)