集団避難の中学生ら支えた40日間…石川に派遣の埼玉の教職員8人、現地での活動を報告 「危機管理、意識を」
能登半島地震の被災地に派遣され、2次避難した中学生の健康相談や学習指導に携わった埼玉県の教職員ら8人が、日吉亨教育長に支援活動について報告した。避難生活で強いストレスを抱えたり、地震の衝撃を忘れられない生徒たちの心のケアなどを担当。現地の教職員は寝る間も惜しんでインフルエンザなどの感染症対策に当たっていたといい、通常の教育活動再開に向けて尽力する姿を伝えた。 教職員らは2月5日~3月15日、能登町、珠洲市の生徒計142人が避難生活を送った医王山スポーツセンター(金沢市)と輪島中学校の生徒138人が避難した白山ろく少年自然の家(白山市)に派遣された。 医王山スポーツセンターには総合教育センターの高沢聖子指導主事、神川町立神泉小学校の大沼恭子養護教諭、県立伊奈学園総合高校の飯田具子主幹(養護)教諭の3人が派遣。現地の養護教諭と共に生徒の応急処置や見守りに当たった。同センターでは他県から派遣された養護教諭は埼玉県の2人のみだった。
同センターで特に重要だったのが、感染症対策だった。現地の養護教諭は土日や夜間を問わず、寝る間も惜しんで対応していた。大沼養護教諭は「避難所ではインフルエンザがまん延し、生徒の4分の1が罹患(りかん)している状態だった。発熱や感染疑いのある生徒の対応が一日の業務のほとんどを占めた」と振り返った。 生徒の心のケアも課題だった。飯田主幹教諭は「(ストレスを)抱えて秘めている子どもが多かった」とし、避難所で「壁に穴を開けてしまう生徒や授業へ出ずに自分の部屋にいる生徒もいた。子どものフラストレーションを感じた」と語った。 また、高沢指導主事によると、足に縫合が必要な10センチほどの深い切り傷を負いながら、十分な医療を受けられていない生徒がいた。話を聞いたところ「夜中になると痛くなって、そのたびに地震のことを思い出して怖くなる」と説明。けがをした生徒はその後、保護者とも連絡を取り医療につなげることができたという。