脚本・野木亜紀子×監督・塚原あゆ子、日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』制作秘話を明かす
■神木隆之介はイメージにピッタリだった
――神木隆之介さんのキャスティング理由について教えてください。 野木:神木さんはちょうど30代前半で、若者の青春を描くドラマにはちょうど良い年齢でした。本作では70年の時間軸を描くこともあり、40歳の方に20代を演じてもらうのはさすがに難しいと思っていて。神木さんにお願いしようと決めたのは連続テレビ小説『らんまん』(NHK)の放送前でしたが、日曜劇場を背負えるだろう期待もありました。 塚原:そうそう。30代前半で、視聴者の皆さんにも馴染みがあり、日曜劇場を背負っていただける人、という難しいキャスティングでしたが、その中で神木さんが私たちのイメージにピッタリだったんです。 ――神木さんの一人二役という設定はどのように生まれたのでしょうか? 野木:塚原さんから「現代のストーリーを入れてほしい」という話があったときに、過去を振り返る構成なら一人二役のほうがいいのではないかなと思ったんです。過去と現代、それぞれに別の主役ができてしまうのも違うなと…。神木さんなら一人二役できそうという他力本願な気持ちもありました(笑)。過去パートでは、神木さんのイメージに近い、明るくまっすぐな鉄平を演じていただくので、現代パートでは神木さんが今まで演じていなさそうな役にしたく、ホストという設定にしました。 ――実際に神木さんの演じ分けをご覧になっていかがですか? 塚原:撮影現場では、いつもすごく柔軟に対応されています。二役を演じるというのは、どちらのキャラクターも自分の中から引き出さなければならないので、器用に分けなければいけない難しさがあります。神木さんはそういった面も非常にお上手。もしかしたら苦しんでいることもあるかもしれませんが、そういった素ぶりは一切見せずに楽しそうに演じてくださっていて、そんな座長についていくのがとても楽しいです。 ――神木さんに加えて、豪華な出演者たちにも注目が集まっています。キャスティングのこだわりや、それぞれの魅力は? 野木:それぞれ違うタイプの俳優さんに集まってもらえましたね。神木くんと清水尋也くんは全く違うタイプの俳優さんですし、杉咲花さん、池田エライザさん、土屋太鳳さんもパッと見ただけで、明らかに異なるキャラクターを演じているとわかると思います。若い俳優さんを知らない年配の方はもちろん、外国の方が見ても混乱せずに楽しんでもらえると思います。 塚原:基本的には、それぞれが一緒にお仕事をしたい俳優さんの名前を挙げてキャスティングが進みましたね。現代パートにもひと癖ある俳優陣が揃っていて、個性的なお芝居のぶつかり合いを観ることができます。過去と現代パートの空気感が全く違っているので、その違いも見どころ。同じ日に過去と現代のシーンを撮影することもあって、「水がない…!」というセリフがあったかと思えば、その後の撮影では高級車から降りてくるシーンがあったりして。まるで2本の別作品を撮っているような感覚になります(笑)。