【欧州市況】英FTSE100指数が最高値更新、イタリア債が堅調
(ブルームバーグ): 22日の欧州株式市場では、英FTSE100指数が1年2カ月ぶりに終値で過去最高値を更新。株式市場の最近のボラティリティーと地政学的リスクで、同指数に多いディフェンシブ銘柄に投資家の買いが流れている。
FTSE100指数は前週末比1.6%高の8023.87となり、終値で昨年2月に付けた8014.31を上回った。ただ、過去最高の日中高値である8047.06にはまだ届いていない。
FTSE100は年初来で約4%上昇。ブルームバーグがまとめたデータによると、石油大手のシェルとBPだけで、この上昇分の約半分を占める。製薬会社アストラゼネカ、金融のHSBCホールディングス、航空機用エンジンメーカーのロールスロイス・ホールディングスも指数の上げに大きく寄与した。
同指数の堅調は、今年早くに過去最高値を付けて今月に入り下落基調をたどっているストックス欧州600指数やS&P500種とは対照的だ。
スコープ・マーケッツのチーフ市場アナリスト、ジョシュア・マホニー氏は「人工知能(AI)への期待で買われ過ぎたテクノロジー銘柄が重しとなり、米国市場には現在売り圧力がかかっている。一方でFTSE100は鉱業やエネルギーの比重が大きいおかげで、目立たないながら勢いをつけてきた。最近の原油や銅、貴金属の相場の堅調が追い風になっている」と指摘した。
欧州債市場では、イタリア債が全年限でアウトパフォーム。S&Pグローバル・レーティングによる格付け見直しを先週末に無事乗り切ったことが好感されたほか、欧州中央銀行(ECB)の利下げ見通しの強まりやボラティリティー低下に後押しされた。
イタリア10年債と同年限のドイツ債とのスプレッドは7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小して136bpと、2月10日以来の小ささとなった。
ドイツ債は2年債利回りが2.5%を、10年債利回りが3%をそれぞれ一時上回ったが、債券発行の発表が消化されると利回りは低下に転じた。