「帰れ」と破り捨てられた名刺、商品を何度「いらない」と言われても 飛び込み営業を重ねてつかんだ教訓
本当に商品をいらないと思われているのかー自身に問いかけ変わった常識
東京都杉並区出身。大学を経て「経理の知識を学ぼう」と相模原市の税理士事務所に入った。その後介護用品のレンタル会社に移り、会社の先輩を通じて知り合ったのが桜井さんだった。「よかったら一緒にやらないか」。CSセットのレンタルサービスを模索していた桜井さんに誘われ、峯崎さんは即断した。 当初は施設を訪ねるたびに「いらない」と冷たくあしらわれ、CSセットは世の中に必要とされていないのではないかと自信を失いかけた。名刺を破られた先に契約をつかんだ経験で気付いたことがある。「本当に『いらない』と思っているのか?」と。施設側もはっきり認識していない困りごとが実はその先にある。「勝手に諦めてはだめだ。常識が変わった」。一歩一歩、営業の道を進み続けた。
寝具販売を手がけていたエランがCSセット事業に乗り出して20年余。需要は右肩上がりで伸び、22年12月期の連結売上高は前期比14・6%増の362億6400万円を記録した。25年12月期には680億円を目指す。 「一兵卒から社長になりましたから」。前例が通用しない新型コロナ下でトップに就き、大切にしたのは「現場の声をよく聞くこと」。各地の支店を回り、社員の営業にも同行した。ヘルスケア領域の「困った」を「笑顔」に変えたい―。市場の成熟も見据えて、入院や入所だけでなく、退院後や在宅療養の日々を支援するサービスの充実にも力を入れたいと考えている。(文・青木信之、写真・河西宏樹)