「僕はテレビが大好きなスーパー視聴者」唯一無二のコメディアン・関根勤を作り上げた“秘密”
テレビ番組の検査でわかった冠動脈狭窄症で心臓手術
「小堺くんがレギュラーを務めていた『サタデープラス』という大阪の番組で、僕と小堺くんが心臓に特化した検査病院のロケに行くことになったんです。大阪の番組だし、笑いをいっぱい入れなくちゃと思い、検査中もかなりふざけたことを2人でやっていて。結果は後日、生放送で聞くという流れだったのですが、検査の翌日、電話がかかってきて『再検査をしたほうがいい』と言われたんです」 再度、病院に行き、造影剤を入れて詳しく検査をすると、血管が詰まっていることが判明。 「62歳の男性を無作為に100人選んで検査をした中で、4番目に悪いと。冠状動脈が細くなっているから手術が必要かもと、心臓の専門病院を紹介されました。そこでカテーテルを入れて検査をすると、やっぱり血管が詰まっていて、その場でステントを入れる手術をしてもらいました。 自覚症状はなかったのですが、ほっといたら心筋梗塞を起こしていたかもしれないのでラッキーでしたね。そんな細かい検査は人間ドックでも入ってないですし、心臓専門の検査病院だったからわかったんです。助かりました」
YouTubeも開始。生涯現役で笑いを届けたい
関根の素顔はというと、小堺も飯尾も「テレビで見る姿とプライベートにまったくギャップがない」と口をそろえる。飯尾はこんな一面を教えてくれた。 「意外とせっかちなところがあり、扉やエレベーターなど開き始めた瞬間に出ていきます」 年が離れた後輩と子どものように遊ぶ関根の姿も印象的だった。 「ご自身がオフの日に、午前中からドーナツやスナック菓子など大量の差し入れを持って30歳下の後輩の家に集まって、ゴルフのテレビゲームをやりながら一日中、盛り上がったこともありました。ある日はフラッと、1人カラオケに行ってきたりと、周りよりちょっと小遣い多めにもらってる中2みたいで、なんとも不思議な方です」(飯尾) 「生涯現役」で仕事を続けたいという関根。1981年にスタートしたTBSラジオの番組『夜はともだち コサラビ絶好調!』のファンは今も多く、2023年に復活したポッドキャスト版『コサキン ポッドキャストDEワァオ!』も人気だ。 「当時、TBSのアナウンサーだった松宮一彦くんが担当していたラジオ番組がありましたが、松宮くんが『ザ・ベストテン』で追っかけマンをすることになり、空いたラジオ番組の枠を僕と小堺くんでやることになったんです。でも、松宮くんのファンからの拒否反応がひどくて、何やっていいかわからないし、ハガキも来ないし、小堺くんと『好き勝手にしゃべってクビになるように仕向けよう』という話になったんです。それでくだらないことばかり言って、絶叫したりしてたら、ハガキが増えて、ファンも増えて、結局27年続きました」 50年の芸能生活で唯一、やめたいと思ったのはこの番組だけだったというが、長寿番組になるのだからわからないものだ。長年のファンたちと集う番組のイベントを3月3日に控える。 「ラジオのファンは男性が9割以上。当時、どんどんお笑いの後輩に抜かれるんだけど、僕たちはマニアックな話題を持っているから大丈夫だと勝手に自信を持ってやってましたね。このラジオ番組は僕の芸能生活の支えになっていたと思います」 2022年からはYouTube『関根勤チャンネル』もスタートし、こちらでも小堺がたびたび登場する。現在16万人以上の登録者がおり、関根が気になっている人を呼ぶコラボ企画も多い。高田純次とのコラボは180万回以上の再生数を誇り、抱腹絶倒の内容だ。 「YouTubeは若い人がやるイメージがありましたが、スタッフにすすめられてやってみることにしました。ダメだったら撤退すればいいし、やらないよりはやってダメだったほうがいいと思って。テレビと違い、時間やスポンサーを気にせずに1人で好きにしゃべれるのが思いのほか楽しくて、すでに動画は350本を超えました。仲がいい芸人さんをはじめ、『ランジャタイ』など、僕が面白いと思っている若手の芸人さんに登場していただいたりもしています」 4月には関根が座長を務める『カンコンキンシアター』の公演もある。今年は関根勤芸能生活50周年記念公演だ。 「35年前に旗揚げしましたが、もう全員が50歳以上になっちゃって身体が大変です。でも、萩本さんは82歳、伊東四朗さんは86歳、加藤茶さんは80歳、大村崑さんは92歳で、みなさんお元気ですからね。先輩を見習って長生きし、ひ孫も見たいですね」 年齢や性別を超えて愛されるコメディアンはなかなかいない。長生きしていつまでも笑いを届けてほしい。 3月3日に『コサキン ポッドキャストDEワァオ!』(TBS Podcastで配信中)のイベントを東京・有楽町朝日ホールで開催 <取材・文/垣内 栄> かきうち・さかえ IT企業、編集プロダクション、出版社勤務を経て、'02年よりフリーライター・編集者として活動。女性誌、経済誌、企業誌、書籍、WEBと幅広い媒体で、企画・編集・取材・執筆を担当している。