「知的障害、発達障害の可能性を否定できない」姉への強盗殺人に問われたホームレスの妹(52) 弁護側、最終弁論で主張 売春し知人の女に5800万円を送金”謎多き事件” 8月1日に判決
知人の女と共謀して姉を殺害し通帳などを奪ったとして強盗殺人などの罪に問われているホームレスの妹、辻和美被告(52)。 【写真で見る】謎多き強盗殺人事件の裁判・事件現場 これまでの裁判で、和美被告が19年間に5800万円を知人の女に送金したことが明らかになっている。和美被告は「借金返済のため」と語ったが、実際に借金があったのか、いくら借りたのかは「分からない」などと語るのみで判然としていない。 最終弁論で弁護側は、和美被告について「本人に自覚はないものの、知的障害、発達障害がある可能性を否定できない」とした上で、姉を殺害したことが疑われるのは「知人の女」だと主張した。 ■検察「金のために殺害、言語道断」無期懲役を求刑 7月19日に開かれた辻和美被告の裁判。検察官の厳しい言葉が法廷に響いた。 検察官「誠に卑劣かつ残虐な犯行というほかない。辻和美被告は、被害者を殺害し通帳等を奪った実行犯であり、その刑事責任は、極めて重い」 起訴状などによると、辻和美被告(52)は去年6月2日、知人の岡村恵美被告(47)と共謀して、福岡県水巻町の町営住宅で姉の辻つぐみさん(当時52)の首を圧迫して殺害し、通帳3冊と印鑑を奪った強盗殺人などの罪に問われている。 検察側は、辻和美被告がつぐみさんの首にねじったポリ袋をかけ、「思い切り引っ張るなどの方法により、つぐみさんが動かなくなるまで約3分間かそれ以上、首を圧迫した」と主張。「お金を得るためであれば手段を選ばない強固な利欲目的の犯行。被害者を金のために殺害した、言語道断」だとして、辻和美被告に無期懲役を求刑した。 和美被告は、顔色を変えず、目線を動かさず、検察官の言葉を聞いていた。 ■弁護側殺害した人物に初めて言及 一方、この日に行われた最終弁論で、弁護側は、「和美被告は姉のつぐみさんを殺害していない。和美被告が行ったのは、姉のつぐみさんの両手足首を結束バンドで縛り、通帳などを奪ったことにとどまる」と改めて主張した。 弁護人「結束バンドを使えば、財物を奪取するには十分であり、殺害する必要はない。和美被告が実家を立ち去った後、(次の日の)6月3日の朝までに和美被告以外の第三者が姉のつぐみさんを殺害したと考えられる。」 それでは誰がつぐみさんを殺したというのか。 これまでの裁判で弁護側は一貫して”和美被告が単独で行った強盗事件”だと主張しているが、殺人を行った人物については、「第三者」と述べるにとどまっていた。しかし、この日初めて具体的な人物の名前に言及した。 弁護人「その疑いがある人物は、岡村恵美被告だと考えざるを得ない」 その理由として、岡村被告が以前、和美被告の実家を訪れ、和美被告の母親から金を借りたこと、事件当日の夜に、和美被告の実家近くからそれほど離れていない場所を訪れていること、翌日、実家近くに行ったことなどをあげ、「岡村被告は和美被告から聞いて、つぐみさんが結束バンドで縛られていることを知っていて、そうであればその日の夜につぐみさんを殺害することは容易である」と主張。「岡村被告が、つぐみさんを殺害したとの合理的な疑いを払拭できない」と述べた。
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