日本が世界を制するにはスモール・ベースボールや。“柔よく剛を制す”が痛快よ【岡田彰布のそらそうよ】
世界規模の大会は日本の力を知るいい機会よ
オーストラリア戦で見せた周東の走塁が世界を制するには必要や。あの試合での1点の取り方こそ、侍ジャパンが目指していく野球やと思うね/写真=BBM
秋季キャンプも真っただ中。球界は2020年に向けてスタートを切ったが、一方で生き残りをかけたトライアウトが先日行われた。すでに、ほとんどのチームは来季に向け、戦力補強を行い、あとはFA、外国人補強。そこにさらなる強化策として、トライアウトが存在するのだが、正直、生き残りは簡単じゃない。 世はまさに情報社会。球界も同様や。編成担当がすべての球団をチェックし、細かい分析がなされている。そんな中で隠れた能力をトライアウト1日で見つけ出すということは、なかなかないこと。オレは監督生活8年で、阪神時代に高橋光信をトライアウトで獲得したが、これも事前に調査報告を聞いて決めていたもので、トライアウトはその手順を踏んだだけのことやった。 受ける選手は生活をかけた勝負となるけど、望みどおりに進むのは、ごくわずかや。今年は何人のプレーヤーが望みを叶えるのだろうか。ここにもドラマがあって、その結果を見届けたいと思っている。 さて、球界のイベントはプレミア12が佳境。ラグビーW杯のような熱狂の大会になればいいのだが、今のところは……。日本は何とか決勝に進めるのでは、の状況で、このコラムを書いている段階ではメキシコに勝って、あとは韓国に勝てば決勝に、となっている。今回は、まだ予断は許さない中で、オレが見たプレミア12を書いてみる。 オレの現役時代には、このような世界大会は存在してなかった。“世界”を意識したのは大学のときやからね。印象深いのは早大3年のとき、単独チームでアメリカに渡った。対戦したのはアリゾナ州立大で、全米の強豪校。当時、部員の中で19人がドラフトで指名されるだろう……というバリバリのチームやった。中でも強烈だったのが、日本でもおなじみのボブ・ホーナー(元ヤクルト)。ホンマ、ピンポン球のように打球は飛んでいったわ。こんなチームと戦った後、大学3、4年には全日本学生のメンバーに選ばれ、全米学生チームと戦った。あのときのクリーンアップは三番・原辰徳(現巨人監督)、四番・岡田彰布、五番・小川淳司(前ヤクルト監督)。のちに3人ともプロ野球で監督を務めたのだが、やはり全米の・・・
本文:2,303文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
週刊ベースボール