【マリウス葉】さんにインタビュー。「自分をより深く知る時間が今の僕には大事」
自分をより深く知る時間が今の僕には大事なんです
日本を離れたこの1~2年は、カウンセラーやセラピストの力を借りながら、「自分自身に『マリウスって誰?』『マリウスって、本当はどんな人間?』『今どうしてこうなっているの?』という問いかけをずーっとしてきた」と振り返る。そんな中で見えてきたのは、完璧主義で、自分に厳しい自分だった。 「うまくいかないことがあると、『自分は生きる資格がないんじゃないか』って思ったり。オール・オア・ナッシングで考えて、自分を追い詰めてしまうことがよくあったんですね。でも、この先、そんな考え方をずっと引きずっていくのはつらいし、将来、自分のパートナーや子どもに悪影響を及ぼすのも嫌だなって。それで『変わりたい』と強く思うようになりました」 肩の力を抜いて、興味のおもむくままに自分らしく――。セラピーの効果もあり、次第に変化が表れた。 「たとえば勉強との向き合い方も変わりました。スペインに行った当初は、『芸能活動をしていない今、いい成績をとらないと自分は価値のない人間になってしまう』『僕の道を応援してくれている人を失望させてしまう』と必死に勉強していたけれど、最近は、そんなふうに自分にプレッシャーをかけるのをやめました。知識やスキルを学ぶことは大事だけど、それ以上に本を読んだり、エッセイを書いたりして、自分のことをより深く知ることのほうが大切だから。今は大人として成長する時間だと思っています」 ところで、今の大学の友人たちは、マリウスが日本でアイドルだったことを知っているのだろうか? 「最初は、みんな知らなかったんですが、あるとき、僕の名前をインターネットで検索をした友達がいて、『えっ、こんな活動してたの?』って(笑)。ライブの動画をみつけた友達には、『今と顔が全然違う!』ってびっくりされました。ちょうどスペインでヒゲをはやしてるときだったから、つるんとしたアイドル時代の僕に驚いたみたい」と笑う。 「今はステージで歌ったり、踊ったりする自分は想像できない」と言うが、多くの経験を経た今だからこそ、メンタルヘルスをはじめ、さまざまなトピックについて、SPURで発信していきたいと考えたのが、この連載がリスタートするきっかけ。 「タイトルの『One step at a time』は、以前の連載のままだけど、とらえ方が少し違うんです。前は『一歩ずつ進めば大丈夫だよね』って、自分に言い聞かせていたところがあって、どうしたら前に進めるか、全然理解できてなかった。でも今は、自分の足で一歩ずつ前に進み始めているし、成長を実感できている。そんな自分を誇りに思います。僕が経験したことをこの連載を通して、皆さんと共有できたらと思っています」 ◇マリウス葉 2000年、ドイツ生まれ。幼少期を父の出身地のハイデルベルクで過ごす。元タカラジェンヌの母の影響で歌や踊りのレッスンをはじめ、11歳のとき、Sexy Zoneのメンバーとしてデビュー。2022年12月、芸能活動を引退。2021年9月、スペインの大学に編入した。 SOURCE:SPUR 2024年4月号「マリウス葉、連載始めます」 photography: Yurie Nagashima styling: Naomi Shimizu hair: HORI〈BE NATURAL〉 edit: Hiromi Sato