バイデン氏、大統領令で国境対策へ-選挙にらみ亡命申請制限
(ブルームバーグ): バイデン米大統領は4日、メキシコとの国境での亡命申請を一部停止することを可能にする大統領令に署名する。米国への移民の流入を制限し、11月の米大統領選で再度対決する見通しのトランプ前大統領に対し、自身の最大の弱点の一つに対処するのが狙い。
事情に詳しい複数の関係者によれば、この大統領令により、越境してくる移民の新たな亡命申請は現行の約3分の1に減るまで事実上、阻止することになる。正式発表の前であることを理由に関係者は匿名で話した。
メキシコからの越境者が1日当たり約2500人に達した時点で、この措置は発動される。入手可能な直近のデータによると、米当局者が4月に「遭遇」した不法移民の越境者は1日当たり約4300人と記録された。
このためバイデン政権として早期に多くの人々の亡命申請の阻止に動く可能性があるが、この政策が裁判で争われるのは確実だ。
関係者の話では、4日午後にホワイトハウスで開催されるイベントに議員らが招待されている。国境での「遭遇」が1日当たり1500人程度に減った場合にのみ、バイデン大統領は亡命申請の再開を認める方針という。大統領の計画については、AP通信が先に報じた。
深刻化する米移民問題、大統領選の波乱要因に-現行制度の不備鮮明
4日に予定されている大統領令はバイデン政権として最も積極的な国境対策だ。記録的な数の移民流入は対応を迫られる全米各地のコミュニティーに重い負担となっている。
この大統領令と同様の権限を盛り込んだ超党派案が上院でいったんまとめられたが、バイデン氏に政治的得点を与えたくないトランプ氏の意向を反映した共和党の反対で成立に至らず、バイデン氏は大統領令で対応することとなった。
だが、民主党左派からは本国送還は非人道的だとして批判を招く見通しで、大統領に政治的リスクとなる。イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦争を巡る政権の対応で同党内には既に対立が生じており、11月の大統領選に向けて結束を固めたい大統領の取り組みを妨げかねない。