高齢者施設に住み込む若者 奉仕活動で無料、ゆったり生活が人気 高失業率の中国で
失業率が高止まりする中国で、若者が老人ホームに住み着いたり、自分たち専用の老人ホームをつくって共同生活したりする動きが相次いでいます。 【画像】過激な競争社会に嫌気 「若者専用老人ホーム」に希望者が殺到する中国
■若者が老人ホーム生活 背景に失業率の高さ
中国・江蘇省蘇州市にある老人ホーム。高齢者と踊る22歳の女性は、老人ホームのスタッフではありません。ボランティアでもありません。 老人ホームに住む女性 「平日は本業に集中しています。ここに住むことで、経済的なストレスを減らしたいし、楽しいし、色々勉強になっています」 この老人ホームでは、高齢者に付き添えば施設に住むことができ、家賃も安くなります。高齢者に月30時間奉仕すれば、無料で施設に住むことができるのです。 別の女性は、昼は勤めている会社で会計の仕事をしていますが、平日の夜や土日は老人ホームで高齢者と運動をしたり、音楽を楽しんだりしています。 施設に住み着くこうした若者たちとの触れ合いに、高齢者も喜んでいるようです。 老人ホームの高齢者 「この若者たちは、みんなとても優しい。私は大好き」 老人ホームで生活をする若者が増える背景には、失業率の高さがあります。最新のデータでは、16歳から24歳の若者の失業率は、25歳以上の失業率と比べて2倍以上です。
■“若者専用”老人ホーム 無料で気ままに
こうしたなか、さらに大胆な行動に出る若者もいます。 河南省などに続々とつくられた「青年養老院」と名の付く“若者専用”の老人ホームです。廃墟となった村の一部を若者たちが格安で借りて、自分たちでつくっています。 「青年養老院」に住む若者 「お互いに知らない人たちと短い間、家族のようになり、みんなで交流し、大自然にかえり、自分に合った生活スタイルや生きる意味などを改めて考えることが、ここに来た意味ですかね」 ここでは、多くの若者が共同生活をしています。食事の時間が決まっていること以外、自由気ままに好きなことができます。 本を読み、映画を観たり、書道や字の練習に励んでいる者もいれば、瞑想したり、釣りをする者もいます。まさに、高齢者のような悠々自適な生活です。 料理や家畜の世話など、共同生活に貢献することで生活費がタダになることもあります。 「青年養老院」のオーナー 「ここで同じ志の人と出会ったり、お互い学んだり、癒やされたり。しばらく休んで、頭の中を整理して再出発できることを望んでいます。決して怠けて、無為に過ごしているわけではありません」