マンホールのフタが吹っ飛ぶ「エアハンマー現象」 60㎏の鉄が6m落下する「恐怖の瞬間」
東京・新宿駅前でも…… 老朽化に加えて、台風の巨大化やゲリラ豪雨の増加で発生リスクが上昇
「凄まじい豪雨の中で女性の悲鳴が聞こえたんです。声の方向を見ると、マンホールから激しく水が吹き上がっていました。高さは15mほどあったでしょうか。水の勢いでマンホールのフタも吹っ飛んでいました」(目撃した歩行者) 9階の高さまで水が吹き出して……大阪市で起こった「エアハンマー現象」写真 8月21日、東京のJR新宿駅前でマンホールから下水が吹き出した。都は毎時75㎜の雨に耐えられる施設整備を進めているが、当日は隣接する港区付近に記録的短時間大雨情報を発表。設計上限をはるかに超えたため、行き場を失った水が一気に吹き出したとみられる。東京都下水道局の担当者が説明する。 「短時間に下水道管に大量の雨水が流れ込むと、水位が一気に上がり空気圧が急上昇する『エアハンマー現象』が起きます。当日は5ヵ所でマンホールのフタのズレや舗装の隆起(りゅうき)が起きました」 エアハンマー現象では瞬間的に6tもの圧力が生じる。新宿では、6mほどの高さまで吹き飛ばされた重さ約60㎏のマンホールのフタが落下してきたのだ。 同様の現象は全国で起きている。’21年7月に被害を受けた、東大阪市在住の田中純平さんが振り返る。 「ゲリラ豪雨の最中に『ボン! ボン!』と大きな音が聞こえたんです。自宅マンションから外を見ると、マンホールから9階の私の部屋の高さぐらいまで水が吹き上がっていました。大量のガレキも吹き飛ばされ私の車にぶつかり、廃車にせざるをえませんでした」 巨大台風やゲリラ豪雨の増加により、エアハンマー現象の発生リスクは増えている。『日本グラウンドマンホール工業会』の大石直豪(なおひで)氏が警鐘を鳴らす。 「下水道用のマンホールは全国に約1600万基あり、過去23年間で集中豪雨からフタが飛ばされる事故は106件起きています。’91年以降に製造されたフタには安全機能が付いていますが、それがない古いタイプも600万基近くあるんです」 古いフタが残っている以上、大雨の際はマンホールに近づかないことが重要だ。 『FRIDAY』9月27日・10月4日合併号より
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