デリヘル嬢が「下着」を経費で落とすために必要なものって? チャットレディが「犬用おしっこシート」を仕事で使うための驚愕の理由は?
夜職の確定申告#4〈デリヘル嬢・チャットレディ〉
性風俗産業の代表格であるデリヘル嬢、オンラインで性的サービスを提供するチャットレディの納税事情はいかに? 夜職の案件を取り扱う税理士法人松本と紐解いていく。(全4回の4回目) 【画像】財務省・国税庁
悪質店に騙され、数年分の税金が未納だったデリヘル嬢
正式名称デリバリーヘルス、略してデリヘル。性的なサービスを提供する性風俗の一種だが、知らない方のために業務の流れを整理しておこう。 まず、客が店に連絡し、ホテルや自宅などの指定場所にデリヘル嬢が訪れ、性的サービスの提供前後に料金が支払われる。また、遠距離の指定場所へデリヘル嬢が往復する場合には、店が用意した送迎車が使われる。だいたいこのような流れである。 デリヘル嬢は店と業務委託契約を結ぶ個人事業主であり、所属している店から報酬を受け取る。店が客から受け取った料金のうち、おおよそ50%程度が取り分になる契約が多いという。個人事業主である以上、確定申告が必要だが、納税意識が希薄な働き手が多いのも現実だ。また、店の入れ替わりも激しい業界だけに、所属するデリヘル嬢の納税事情まで店舗が把握していないことも往々にしてある。 さらに、「税金のことはこっちでやるからいいよ」と嘘をつかれるケースもあるという。聞いた話では、デリヘル嬢の報酬明細には税金額の記載があり、報酬から天引きされていたものの、実際にはお店がだまし取っていたという事例もあった。 そういった悪質店の場合は、税務調査が入る前に店ごと潰して消えてしまうことがほとんどだ。最初から短期で稼ぎ抜ける計画を立てており、騙されていたとしても泣き寝入りするしかなくなる。 税務署の調査官に「数年分の税金が未納です」と言われ、「店に騙されました」と伝えても、「それでも納税していないのはあなたの責任です」と突き放されておしまいなのだ。
“下着”を経費で落とすために必要なもの
デリヘル嬢の場合、所属する店のコンセプトやプレイ内容によって経費の線引きが変わってくる。例えば、店から義務化されている性病検査代やピル代、個人で用意するローションなどの道具代、仕事中にしか着用しない下着代などが経費として計上できる。 ここでポイントになるのが、仕事用とプライベート用の使い分けをきちんと証明でき、合理的に説明できるかどうかだ。風俗業・キャバクラ・ホストクラブなど夜職の案件を取り扱う税理士法人松本に見解を聞いた。 「仕事中の衣装代などは家事関連費と呼ばれ、業務の遂行上必要である部分を明らかに区分できる場合、その部分に相当する金額は経費として計上できます。 ただし、この証明は特に難しいもの。ひとつのものにふたつの顔を持たせるので当然です。明確にわけるための手段として、必要経費と家事費をあらかじめわけておく必要があります」 例えば、普段着として身につけないような派手な下着は仕事でしか使わないので必要経費、ふだん使っているファストファッションの安い下着は家事費、といった具合に分ける必要があるのだ。そして、仕事用下着の領収書のみでは不十分であり、プライベート用下着の領収書も保管しなければならない。 税務調査が入った場合を想像してほしい。下着が経費として申告されたら、調査官は十中八九、「この下着ってプライベートでも着用されますよね?」と聞いてくるだろう。「プライベート用下着の領収書は関係ないから捨てました」と答えても証拠となるものがないので、経費としては認めてもらえなくなってしまうのだ。