パリオリンピック卓球女子団体で銀 早田ひなは何を思いながら仲間の戦いを見ていたのか
【「決勝を経験したからこそ、わかることも」】 そして第2試合、平野はシングルス世界1位に君臨する孫穎莎との対戦だったが、昨年のザグレブでの大会で勝利しており、勝算はあった。実際、第1ゲームは一時、7-1でリードした。ただ、そこから王者の底力を見せつけられて逆転され、11-13で敗れた。その後は流れを失い、6-11、6-11と落とし、第2試合も取れなかった。 第3試合の張本も「天才少女」の片鱗を見せ、接戦を演じた。第1ゲームを14-12で取り、第2ゲームも10-10のデュースに持ち込むも、そこで競り負けたあとは、7-11、6-11と落としている。 「平野も張本も、勝てる可能性もありました。しかし悔しいですが、相手は最後に集中力で上回って、簡単に失点しなくなって。こっちが焦ってしまいました」 渡辺武弘監督はそう明かしていた。 第4試合、早田の出番までは回ってこなかった。 「基本練習のところはありますし、中国人選手の層の厚さですかね。そのなかで毎日練習しているので......」 早田はそう言って、中国との差を説明していた。 「私たちのレベルも上がっているんですが、ずば抜けて能力が高いと感じました。ただ、通用するところもあったし、課題も見つかったので、自分と向き合ってやりきれるか。決勝という舞台を経験したからこそ、わかることもあります。自分としては、オリンピックの大舞台でも、いつもと変わらずにプレーし続けられたのはよかったなと」 早田は競技者としての図太さを感じさせた。ケガというアクシデントに折れなかった。周りの協力を得ながら、関係者が驚くほどストイックに治療、回復に努めていた。そうした真摯な卓球への取り組みこそ、彼女の強さの源なのかもしれない。 そこで、ひとつ質問を投げた。 ――団体の戦いを通じ、コートサイドで味方選手を見守る様子が、とても真剣な眼差しで、ともに戦っているように見えました。 彼女は、しっかりと目を見てこう答えている。