韓国の強制動員被害者、日本の戦犯企業から賠償金を確保…初の受領例
日立造船、損害賠償金の強制執行を防ぐため供託 被害者遺族、6千万ウォンの供託金差し押さえを申し立てて受領
強制動員の被害者が、日本の戦犯企業から受け取るべき賠償金の名目で、当該企業の資金を確保することに成功した。日本企業の資金が被害者に渡った初の事例だ。 強制動員の被害者Lさんの遺族の法律代理人を務めるイ・ミン弁護士は、日本の日立造船が2019年にソウル高裁に預けた6000万ウォン(約675万円)の保証供託金を受領したことを、20日午前に明らかにした。Lさん側がソウル高裁に預けられている日立造船の保証供託金6000万ウォンの差し押さえを申し立て、ソウル中央地裁が先月23日にこれを認めたことに伴うもの。 1944年9月、日本の国民徴用令により大阪に位置する造船所に強制動員されたLさんは、2014年に日立造船を相手取り、強制労役による精神的被害の賠償(慰謝料)を求めて提訴した。 2019年1月に二審のソウル高裁がイさん勝訴の判決を下したことを受け、日立造船は裁判所に損害賠償金の強制執行停止を請求した。裁判所は、日立造船が保証供託金6000万ウォンを担保として提供することを条件として強制執行を停止させた。 イさん死去後の昨年12月28日に最高裁が日立造船に対し、イさんの遺族に5000万ウォンと遅延利子の賠償を命じる判決を言い渡したことを受け、イさん側は最高裁判決にもとづいて日立造船の国内資産である供託金の差し押さえ手続きを踏んだ。イさん側はソウル中央地裁の差し押さえ・取り立て命令請求の認容を根拠として、ソウル高裁から保証供託金担保取り消し決定を受け、ついに供託金を手にした。 イ・ミン弁護士は「強制徴用の被害者が初めて日本企業の金を賠償金として受け取ったということに意義がある」とし、「供託金を受け取っても弁済されない約1億ウォン(約1120万円)については、日帝強制動員被害者支援財団から受け取るために財団の論議の結果を待っている」と述べた。 強制動員の被害者への賠償を命じる判決は相次いでいる。光州(クァンジュ)地裁民事14部(ナ・ギョン裁判長)は15日、被害者の15人の遺族が三菱重工を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、被告に対し、相続分に応じて原告に1900万~1億ウォン(約214万~1120万円)を支払うよう命じる原告勝訴の判決を下した。しかし、強制動員をおこなった日本企業が韓国の裁判所に金を預けた例は日立造船しかないことが知られており、原告が実際に賠償金を受け取る可能性は高くない。 イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )