【注目】“子育て支援”として広がりを見せる「ファミリーサポート」制度の仕組み…現状と課題とは(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
今、働きながら子育てをする家庭が増えていますが、仕事との両立にはかなりの負担が発生するのが現実です。そんな子育て中の人をサポートする制度が、今、注目を集めています。その仕組みや課題を取材しました。 静岡県によると、2020年時点で県内の共働き世帯は約42万9000世帯。そのうち、こどもと一緒に暮らす世帯が約28万7000世帯と働きながら子育てをする家庭が約70%を占めています。 楽しい一方で、何かと悩みがつきないのが子育てですが、子育て中の人々は普段、どのような悩みを抱えているのでしょうか? (子育て中の人) 「一時保育を」「結構利用する日があるんですけど、やっぱりこの日はだめですとかって結構断られちゃうことが多いので」 (子育て中の人) 「何か、母親がひとりになれる時間が気軽にとれるような制度がもしあれば助かります」 (子育て中の人) 「悩んだ時に」「コミュニティとして近所で助け合えるようなものがあればいいのかなと」 こんな悩みに寄り添ってくれるのが“ファミサポ”の愛称で親しまれ、子育て支援制度として広がりを見せている“ファミリーサポートセンター”。これは、社会福祉協議会が市からの委託を受け運営しているもので、子育ての手助けをしてほしい「おねがい会員」が子育てのお手伝いをしたい「まかせて会員」に1時間600円~800円支払ってサポートしてもらう仕組みとなっています。県内でも、静岡市を含めた31の市町がファミサポの制度を実施。サポート内容は、学童保育や習い事への送迎、自宅での預かりなど多岐に渡りますが、実際のサポートは、どのように行われているのでしょうか? (伊倉 沙紀さん) 「朔梛(さな)くんお迎えだよ」 この日のサポートを行うのは伊倉沙紀さん。この日は2歳の朔梛くんを保育園へお迎えに行き、その後、自宅で1時間預かる依頼です。依頼したのは「おねがい会員」の石上章未さん。 (おねがい会員 石上章未さん) 「土曜日がお仕事がありまして、16時半まで仕事で、保育園が16時までしか預かってもらえないので」 伊倉さんは、4か月ほど前から「まかせて会員」としてファミサポの活動を行っていますが、一方で、自身も4歳のこどもを子育て中のため「おねがい会員」としても登録をしている通称「どっちも会員」です。 (手助けしたい 伊倉 沙紀さん) 「こどもが生まれてから、本当は最初は『おねがい会員』として活動しようかと思ったんですけれど」「どっちも会員ができるということで、良い機会かなと思って」「自分のこどもよりも小さいので、懐かしいな~って感じで、すごいかわいいな~と思ってみてます」 伊倉さんが朔梛くんと歩いて向かうのは伊倉さんの自宅。朔梛くんの家とも近所にあり、それも安心できるポイントです。 おもちゃで遊ぶ朔梛くんを我が子と同じように見守る伊倉さんですが、自宅での預かりは危険を伴うこともあるため、我が子以上に注意が必要だといいます。 (手助けしたい 伊倉 沙紀さん) 「やっぱり」「命を預かっているので間違って何か飲んでしまったりだとか、けががあったりだとかは困るので」「できるだけ/近くで遊ぶようにして、何か飲んだりとかないようには気を付けてます」 子育てでは、子どもの思わぬ行動でヒヤリとすることが起きますが、これまでファミサポのサポート現場でトラブルなどなかったのでしょうか? (静岡市ファミリー・サポート・センター 荒川 みず奈 アドバイザー) 「まかせて会員の協力により、今まで大きなトラブルや事故は発生しておりません」「まかせて会員はサポートをする前に必ず注意喚起シートというものでチェックをしてからサポートを実施するので、とにかく安心安全なサポートに向ける取り組みをしてくださっています」 ファミサポでは、子どもの安全を第一に考え「まかせて会員養成講座」を実施。子どもとの関わり方や食育などの様々な分野に関する講座が行われ、全5回、全てのカリキュラムを受講しなければ「まかせて会員」として活動することはできません。この日の講座では、子どもとの遊び方の講義が行われていました。 (講座参加者) Q 実際に参加してみてどう? 「楽しかったですね。お子さんと一緒にこういう集中する時間を過ごせたらいいなっていうイメージもできました」「どれくらいのサポートができるかは分からないですけど、自分も楽しめる範囲と、お母さまに寄り添える、子どもと一緒に遊べる時間を大事にできたらなと」 午後5時半、朔梛くんのお母さんが迎えにやってきました。 (おねがい会員 石上章未さん) 「もう仕事してる私みたいなママにとっては本当に助かるというか」「地域の人とも」「知り合いが増えていく感じがして、こどもを育てる環境的にもすごい助かるなっていうので」 子育て中の親にとって強い味方のファミサポ。そのため、2024年3月末時点の静岡市の「おねがい会員」は3695人と、その人気の高さがうかがえます。しかし、その一方で「まかせて会員」は941人と、「おねがい会員」の1/4にとどまり、高まる需要に対して、それにこたえる体制が追いついていないのが現状です。 (静岡市ファミリー・サポート・センター 荒川 みず奈 アドバイザー) 「やはり認知度がまだまだ低いというものがあるものですから、多くの皆様に知っていただくことができるよう、活動を広げていければなという風に思っております」 今後、「まかせて会員」の数を増やしていくことが求められますがサポートする側にも報酬だけではないメリットがあるといいます。 (手助けしたい 伊倉 沙紀さん) 「自分の子ではないですけど、成長が見られたりとか、あとは自分は働いているので、土日働いているお母さんの気持ちもわかるので、そういったところで、ありがとうと言われるので、すごくやりがいを感じます」