4度目挑戦の注目選手、一発合格の高校生…「黄金世代」を超えるか? 新世代女子プロゴルファーの横顔
合格率わずか3.7%の「超難関」
11月1日、茨城・大洗ゴルフ倶楽部で’24年度の日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)最終プロテストの最終ラウンドが行われた。女子プロゴルファーとしての夢を抱き、最終テストに進んだ受験者は105名。4日間を終え19位タイまでの選手が狭き門を突破し、新たに26名の女子プロゴルファーが誕生した。 【はい、チーズ】笑顔が眩しい…「自撮り」で記念写真におさまるプロテスト合格者たち 今年のプロテストには総勢695名の受験者が挑戦。合格率はわずか3.7%で、これは司法書士(4%)や一級建築士(約10%)など、難関とされる国家資格の合格率をも下回る数字。プロテストに合格するためには、世界に通用する4日間を戦い抜く技術力が求められ、メンタル面での安定や厳しい条件下での集中力も必要。毎年わずかな実力者のみがこの試練を突破している。 ◆都 玲華 (20) 徳島県出身 4回目のプロテスト 今年のプロツアーにも出場し、4月の下部ツアー『大王海運レディス』で優勝、『明治安田レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント』、『富士通レディース』でローアマを獲得した注目選手。トータル8アンダー2位タイで合格した。 3日目を終えた都玲華は特別な「ゲン担ぎ」として「歩くリズム」を意識していると明かした。 「すごいせっかちな性格なので、つい早く歩いちゃうんです。でも、ゆっくり歩くように心掛けています」 3日目にはラウンド中にやっていることについて、こんなことも語っていた。 「鼻歌は歌っていると思います。私……長渕が好きで(笑)、『しゃぼん玉』とか口ずさんでました。明日も『しゃぼん玉』で行きます!」 そしてリラックスした心境で最終日に挑み、見事合格。この曲が彼女にとってお守りのような存在だったのかもしれない。 一夜明けて「たくさんの方からメッセージをもらったり、支えてくれた人たちの笑顔を見たりして、だんだん実感が湧いてきました」と、徐々に喜びをかみしめている様子。 「プロテストが終わったあとは、ひたすら携帯を触ってお返事したり、写真を見たりしていました。でも、本当に疲れていたので、気づいたら寝ちゃってました」と、大一番が終わったことに安堵した様子も見せていた。 プロのスタート地点に立つまでの道のりには多くの苦労があったという。 「自分の夢の舞台なんですけど、そこに立つまでがすごく苦しくて。ケガもしたし、いろんなことがありました。でも、決して無駄な時間ではなかったし、それがあったからこそ今の自分がある」 さらに、応援してくれた人々への強い感謝の気持ちを明かす。 「やっとスタートラインに立てたので、支えてくれた方にいい報告ができることが嬉しいです。これからもお世話になると思いますが、少しでも恩返しができるように頑張りたいです」 理想のプロは「やっぱり、みんなに愛されるプロゴルファーになりたいです」と笑顔をみせた。 今後は「QTをしっかり突破して開幕戦から出場し、来シーズンは優勝したいと思っています」。12月に行われる新人戦についても「今回、少し悔しい思いをしたので、優勝したいです!」と力強く答えた。プロテストを通して手に入れた自信を胸に、さらなる飛躍を目指す。 ◆福田 萌維 (18) 和歌山県出身 初受験の現役高校生 宮崎県のゴルフの名門・日章学園高校(宮崎)在学中の高校3年生。小学校1年~6年までは地元・和歌山県岩出市の少年野球チームに所属していた。ソフトボールをやっていた渋野日向子と同じような経歴に将来の活躍が期待される。初めて挑んだプロテストをトータル1アンダー、単独11位で見事一発合格を果たした。現役高校生プロとなった彼女は、合格から一夜明けて次のように語った。 「実感はあるんですけど、今はあんまり……なんか嬉しいよりも安心のほうが大きいです」 プロテスト合格を「受かると思っていた」と自信を見せながらも、やはり不安はあったのだろう。明確な結果が出たことで本当に安心している様子だった。 プロとしての認定書を受け取った入会式では「朝からいろんな話をしてくださって、本当に社会人になった気分で……まだ高校生なんですけど。すごい会社の一員になった感じで引き締まりました」と、プロの一員として新たな自覚が芽生えたようだ。プロテスト合格の知らせには、多くの人から祝福のメッセージが寄せられた。LINEやインスタグラムには「今までで最高」の100件を超えるお祝いメッセージが届いたとのこと。 その中でも特に嬉しかったのが、今年の試合で6ラウンドも一緒にプレーし、親しくなった中山三奈プロからのメッセージ。「プロテストに行く前に『待ってるよ~』って言われて、もう行くしかないと思って頑張れた」という。彼女にとって中山プロの応援が大きな支えになっていた。また、1学年上の菅楓華プロや高野愛姫プロからの祝福も届き、先輩たちからの温かい応援がプロテストに挑んだ高校生の心に深く響いたようだ。 自分へのご褒美は? と聞くと、「これがご褒美です」と、プロテスト合格そのものが特別なご褒美だと笑顔を見せた福田プロ。ポジティブな性格が彼女の大きな魅力であり、今後プロの世界で活躍する上での強みとなることだろう。 <合格者一覧> 2024年度のJLPGAプロテストでは、19位タイまでの26名が合格を果たした。合格者と年齢、出身地と今後の目標は以下のとおり(【】内は順位とスコア)。 【1位 TOTAL -10】 寺岡沙弥香(22歳)大阪府出身。これからも全力で頑張ります! 【2位T TOTAL -8】 徳永歩(18歳)大阪府出身。レギュラーツアーで活躍できる選手になりたいです。 都玲華(20歳)徳島県出身。開幕戦から出られるよう、ツアー優勝できるように頑張ります。 【4位T TOTAL -6】 荒木優奈(19歳)熊本県出身。まずはQTを通ってレギュラーツアーで活躍したいです。 神谷桃歌(18歳)愛知県出身。ツアーで活躍できる選手になること。 【6位 TOTAL -3】 山下心暖(18歳)鹿児島県出身。ツアーで活躍する。 【7位T TOTAL -2】 中地萌(25歳)奈良県出身。まずは1勝! 応援してくれている人を笑顔にできるプロに。 西澤歩未(21歳)神奈川県出身。ツアーで活躍できるよう頑張りたいです。 入谷響(18歳)愛知県出身。来年ツアーに出て日本で優勝できるようにがんばりたいです。 中村心(19歳)山口県出身。レギュラーツアーで活躍する。 【11位 TOTAL -1】 福田萌維(18歳)和歌山県出身。多くの人に応援される選手になります。 【12位T TOTAL 0】 加藤麗奈(17歳)兵庫県出身。ギャラリーの方々に応援していただけるような選手になりたい。 大久保柚季(21歳)大阪府出身。ツアーで1勝できるように頑張ります。 【14位T TOTAL +1】 山口すず夏(24歳)神奈川県出身。日本一 → 世界一 神谷奈恵(24歳)愛知県出身。活躍できるように頑張ります! 前田羚菜(18歳)大阪府出身。楽しく全力で頑張ります! 小俣柚葉(18歳)東京都出身。プロの世界で活躍すること。 【18位 TOTAL +2】 上堂薗伽純(28歳)愛知県出身。QTで上位に入りレギュラーツアーに出ること。 【19位T TOTAL +4】 吉田鈴(20歳)千葉県出身。アグレッシブなショットに注目してほしいです。 永田加奈恵(23歳)奈良県出身。やっとスタートラインに立つことができたので頑張ります。 古家翔香(24歳)東京都出身。レギュラーツアーで活躍したい。 青木香奈子(24歳)宮崎県出身。たくさんの方に応援していただけるゴルファーになりたいです。 手束雅(23歳)徳島県出身。誰かに憧れてもらえるような選手になりたいです。 水木春花(22歳)大阪府出身。絵を描くときの集中力を活かして頑張ります。 六車日那乃(22歳)埼玉県出身。トッププロになれるよう頑張ります。 平塚新夢(24歳)宮城県出身。プロの世界で勝てるように頑張りたいです。 取材・文・写真:戸加里真司
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