【鉄ドル・伊藤桃　“ぐう渋”居酒屋の旅】 横須賀中央駅を出てすぐにある「若松マーケット」と呼ばれる飲み屋街には、昭和の風情がいまだ色濃く残っています。１９４６年に戦後の闇市としてスタートした歓楽街です。赤ちょうちんが灯る路地をふわふわと歩くと、ついと心ひかれる一軒がありました。「白根屋」さんです。 看板に書かれた「海塾ｓ’久里浜丸」の文字。横須賀まで来たのだから、やはりおいしい海鮮が気になります。読みは大当たり。店内には、店主やお客さまの釣ったお魚の写真がずらり。「白根屋」の大将は釣りが大好きとのことで、なんと釣ったばかりのお魚がいただけるのです。 平日の１９時半、小さな店内はお客さまでいっぱいでしたが、運よくテーブル席に座れました。まず注文したのは「横須賀ブラジャー」。若松マーケットが考案したお酒で、ブランデーをジンジャーエールで割ったものです。ちなみにブランデーのクラスでＡ～Ｆカップまであるのも面白い。ちょっと甘口のお酒で、疲れが癒えました。お通しはまさかのマグロの中落ち。お刺し身の盛り合わせ、ジューシーな本マグロ串（しかも１５０円！）と海鮮はもちろん、焼き鳥やオムレツなど居酒屋メニューも充実。わが地元、青森の地酒「ねぶた」も発見して、極上のお刺し身といただく時間…、たまりません。 横須賀まで足を運んでよかったと思えること間違いなし。釣り人の雑談をＢＧＭに〝横須賀〟を味わった夜でした。 「白根家　横須賀中央店」は神奈川県横須賀市若松町３の１３（０９０・６１４４・１５１６）。 ■伊藤桃（いとう・もも）　鉄道アイドル、タレント。３月１１日生まれ、青森県出身。青山学院大学文学部卒業。ＪＲ全線完乗した乗り鉄。渋い居酒屋めぐりも趣味。ＦＭ狛江「伊藤桃の小田急全駅ものがたり」（毎月第３、５日曜）に出演。ヴィレッジヴァンガードサイトでコラム連載中。著書に「小田急全駅ものがたり」「桃のふわり鉄道旅」。頑張る居酒屋をインスタグラム（https://www.instagram.com/itomomo_izakaya/）でも応援中だ。