菅田将暉主演『Cloud クラウド』ベネチア映画祭で1032席が満席!黒沢清監督が菅田の凄さ熱弁「圧倒的にナンバーワン」:第81回ベネチア国際映画祭
菅田将暉演じる主人公・吉井を転売ヤーとした理由については「知り合いに転売をやっている男がいたことがきっかけです。彼は別に悪いことをしてるというわけではなくて、ただ大きな組織の中で働くということが苦手で取り立てた何か才能があるわけではなく、もちろんお金があるわけでもない。それが現代の社会で生きて行こうとするときに、ひとつの生き方だと思いました。資本主義の冷たい現実があって、いかにもそのような現代を象徴する仕事だと思い、主人公を転売屋という設定にしました」と明かした。
そして、主演・菅田の話題に。黒沢監督は「菅田将暉さんは、その世代で人気・実力ともに圧倒的にナンバーワンの俳優です」と紹介。「彼はあらゆる役を演じ分けることができる人です」といい、「主人公は曖昧な人にしようと考えていました。映画の主人公は、わかりやすく特徴的なキャラクターがあったり、喜怒哀楽をはっきり表したりする方が特にこういったジャンル映画の場合は都合がいいのですが、今回は普通の人でいきたい。それが僕の希望で、チャレンジでした。いい人か悪い人か。普通の人間が持ち合わせている濁った曖昧な感じを、菅田将暉の非常に高度な演技力があれば、曖昧さが曖昧さとしてそのまま観客に伝わるわるんじゃないかなと思い、彼以外にない! と考えていました。見事にそれに応えてくれたと思います」と菅田の凄さをアピールした。
黒沢監督がレッドカーペットに現れると「KUROSAWA!」コールも上がり、黒沢監督は世界中から集まった映画ファンの声援とサインの要望に応えた。上映後、スタンディングオベーションが巻き起こると、黒沢監督は鳴りやまない熱い拍手喝采のなか、照れくさそうにしながらも安堵したような笑顔を見せ、会場を後にした。(編集部・石井百合子)