かつての「水質ワースト湖沼」に鉄人集合! 第9回手賀沼トライアスロン、今年も元気に
第9回大会、午前6時現在の気温は25度、水温26度。はやい選手は二十数分でスイムを終えトランジットエリアへと急ぐ。そこから緑道を東へ走り4km地点で折り返し×5周。幅約7mのコースを400台のレース用自転車が対面で行き交うさまは壮観だ。強い南風が吹くことの多いこの時季だが、今日はほぼ無風。W字にカーブを描くコースは、風があると追い風と向かい風が交互にやってくるだけに、今日はそのストレスを感じなくて済む。
最後のランは、トランジットエリアから今度は西に向かい約1.7kmで折り返す3周回。日陰がほぼ皆無のコースを選手は駆ける。給水ポイントでは柄杓の水でクールダウン。夏の51.5kmを完走するために練習を積んだトライアスリートにとって、他人との勝負は二の次だ。「みんな負けるな!」コース脇に並んで顔見知りの別なく拍手と声援を送る、多くのギャラリーもまた大会の参加者だ。 大会では受付や選手の誘導、エイドでのドリンク渡し、コース警備など、数々の業務におよそ200人のボランティアが携わる。駐車場担当は早朝4時30分からスタンバイした。「湖上を警備するのはジェットスキー愛好者やカヌークラブの方々。近隣の高校生や少年野球チームなど、年々ボランティアで参加する人は増えています。みなさんの協力があればこその大会です」と垣内さん。選手として参加した人が翌年「恩返ししたい」とボランティアを申し出ることもある。 今年も無事、幕を下ろした大会。「幼いころから手賀沼に親しみ、美しい時代を知っているからこそ、またここで泳げることがうれしい」と顔をほころばせるのは第1回大会から毎回出場する柏市の加藤邦夫さんだ。「水面は波もないし陸のコースもほぼフラット。初心者にも馴染みやすいはず」と大会の魅力を語る。垣内さんは「気になる水質ですが、私たちが毎年試泳して味も確認しています(笑)。水に入れば案外平気ですよ」 現在、国内のトライアスロン人口は約30万人。1000万人ともいわれるランニングには及ばないが、愛好者は着実に増えている。大会は全国に280ほど。スイムとランだけのアクアスロン、ランとバイクのデュアスロンもある。国際標準のオリンピックディスタンス。その半分のスプリント、さらにその半分がスーパースプリント。長い方ではスイム3.8km、バイク180km、ラン42.195kmがアイアンマン、その半分のハーフアイアンマン。体力や経験に応じて競技を選び、スプリント、オリンピック、アイアンマンへとステップアップする人もいる。 入門者用には、自転車、ヘルメット、ウエットスーツがセットになった10万円程度のスターターキットがお手頃。「ウエットスーツがあれば、水泳が苦手な人でも大丈夫」と聞けば、なんだかハードルが低くなりそうだ。ただし、地道な練習が不可欠なのは持久系スポーツの鉄則。明確な目標を立て、しっかり練習を積めば相応の結果が返ってくる明快さもトライアスロンの魅力という。 (文責・武蔵インターナショナル)