【大学野球】日本代表主将はこの男しかいない! 抜群のキャンプテンシーを持つ早大・印出太一
「責任を持ちながら、日本の野球を」
本職は捕手。候補選手全体に求められていたのは「複数ポジション」だった。印出は一塁を守った。「高校のときも1年半、ファーストとサードをこなしていたので、他の捕手よりはアドバンテージがあったかと思います」。不慣れな守備位置でも、軽快な動きを見せた。初日の紅白戦は2試合で6打数無安打だったが、最終日のカウント0ボール2ストライクからのケース打撃(2ストライクアプローチ。プレートから本塁は約2メートル短い16メートル)では持ち味である「対応力」を披露。3打席目の最終打席で左越え本塁打を放った。このタイミングで3日間の全メニューが終了。印出の一発が、選考合宿の「締め」となった。 「打撃投手も思い切り投げてくるので、バットを短く持ちました。ボールにうまく反応できました。ラストバッターだとは思っていなかったんですけど、結果的に良い形で終われたので良かったです」 最終選考会を経て、印出は24人の代表メンバーに選ばれた。しかも、主将の大役である。堀井監督は選出の理由を、こう説明した。 「全日本大学選手権の決勝に進出したキャプテン。合宿3日間で初日の主将に指名して、良いスタートが切れた。主将は印出が良いのでは、と思いました」。プランとして掲げていた指揮官の思いに見事、応えたのである。 「4年生として最初で最後のジャパン。自分自身、侍ジャパンのユニフォームを着ることを目標としてきました。全国の大学生の代表として行くわけなので、ケガにより、志半ばで離脱した人もいますし、ここを目指して頑張っていたにも関わらず、候補選手に選ばれなかった仲間もいる。また、この合宿で選考されなかった人もいますので、責任を持ちながら、日本の野球をやってきたいと思います」 大学4年生の世代を代表する自覚も十分ある。早稲田で慣れ親しんだキャプテンナンバー「10」を、侍ジャパンでも着ける。6月29日からは直前合宿が行われ、7月4日に出国。侍ジャパン大学代表チームは第43回プラハ・ベースボールウイーク2024(7月6~9日、チェコ)と第31回ハーレム・ベースボールウイーク2024(同12~19日、オランダ)に出場する。堀井監督のスタイルを最も理解する主将・印出が選手とのパイプ役として、ますます存在感を発揮していくはずだ。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール