「高校野球の原点」という大宮公園野球場で素振りをする巨人ドラフト１位の花咲徳栄・石塚（カメラ・相川　和寛）

　巨人のドラフト１位・石塚裕惺内野手（１８）＝花咲徳栄＝が１４日、近未来の侍ジャパン入りを目標に掲げた。Ｕ１８日本代表の４番を務めた９月のアジア選手権は準優勝。１３日にプレミア１２・日本代表の開幕戦をテレビ観戦し「トップチームで世界一を目指したい」と決意を新たにした。埼玉・大宮公園野球場で行われた「彩の国野球フェスティバル」に出席し、約３か月ぶりに花咲徳栄のユニホーム姿を披露。フリー打撃では木製バットでサク越えを連発した。 【写真】中学生を相手に野球教室を行う石塚 　石塚が強烈な“バットパフォーマンス”で沸かせた。午後に「実演指導」として行われたフリー打撃。約３か月ぶりとなる花咲徳栄のユニホームで「みんなに見られてるっていう中で、緊張感を持ってやりました」。木製バットを手に取り、約２００人の中学生に１５スイングで６本のサク越えを披露した。 　１年秋に初めて公式戦に出場した両翼９９メートル、フェンス４・８メートルの大宮公園野球場。「芯でとらえても中飛で全然、パワー足りないなって思ったり。成長させてくれた球場」で、プロへ飛び立つ所信表明のように強烈な打球を連発した。次の舞台での目標には「侍ジャパンのトップチームを目指していきたい」と掲げた。野球が復活する２８年ロス五輪では２２歳となるドラ１が大きな夢を口にした。 　前夜に、その思いを強くするきっかけがあった。午後１０時過ぎ。岩井隆監督に呼ばれた寮の一室のテレビに、プレミア１２の日本対オーストラリア戦（バンテリンＤ）が映っていた。ちょうど、６点リードの９回に花咲徳栄の先輩・清水達也（中日）が登板する場面。３者連続三振で試合を締める姿を見届け、「本当に躍動していて、すごくかっこよく映っていた」と胸を熱くした。 　Ｕ１８日本代表の４番を任された９月のアジア選手権は準優勝。決勝の台湾戦は初回に先制タイムリーを放ったものの、１―６で敗れた。「ふがいない結果だった。トップチームで今度は、世界一を目指してやりたい思いはある。そういった選手になれるように、一日一日の練習を大切にやっていきたい」。あと一歩で届かなかった世界の頂に立つために、心は燃えている。 　準備を進めている。ドラフト後に筋力や動体視力、瞬発力を計測できる施設を訪問。スイングを支える下半身の筋力で高校生離れした数値をたたき出した。それでも「左右差が少しあったので、それをなくすところであったり。自分では分からない発見がいろいろあったので、プラスに考えて今後そういったところを潰してやっていきたい」と貪欲な姿勢で体づくりに励んでいる。 　阿部監督からは「高校生だから２、３年は（体づくり）とか、そんなの言ってないでいいのでね。バンバン出てきてほしい」と近未来の台頭を期待されている。約２００人の中学生に丁寧に指導した石塚は「千葉出身の自分が埼玉県で成長させてもらって、恩返しじゃないですけど、貢献できることがあれば」。プロ野球界と世界での活躍を２つの故郷に届ける。（内田　拓希） 　◆Ｕ１８アジア選手権での石塚　オープニングラウンド第１戦の香港戦で３安打４打点の大暴れ。同２戦目のスリランカ戦では３四球を選ぶなど、チャンスメイクの役目も果たした。全６試合に「４番・遊撃」として出場し、計１７打数５安打で打率２割９分４厘、６打点。 　◆石塚　裕惺（いしづか・ゆうせい）２００６年４月６日、千葉・八千代市生まれ。１８歳。幼稚園年長から勝田ハニーズで野球を始め、佐倉シニアを経て、埼玉・花咲徳栄に進学。１年秋からレギュラーに定着し、３年夏の甲子園出場。高校通算２６本塁打。ポジションは遊撃、三塁。１８２センチ、８４キロ。右投右打。