辰吉ジュニア本当の実力は?TKOで10連勝にもカリスマ父は「どんくさい。ぶさいく」と辛口評
カリスマ父は辛口評価
大阪帝拳の吉井寛会長も「及第点」と言った。 「一応、課題はクリアしたね。自分から前に出たし左も使えた。多少なりともメリハリもつけたし、皆さんが納得いく形で成長はしていると思う。練習で出せているものが試合で出せるようになってきた。まだフェイントを使うとか、ボディからのコンビネーションを見せるとか、次の課題は残っているが、集中力が出てきたね」 元OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者で、元WBA世界スーパーバンタム級王者の下田昭文とドロー経験もあるロリ・ガスカ(フィリピン)とのスパーリングが力に変わった。「寿以輝が壊されるのが怖いのでスパーは週に一度に限定した」(吉井会長)ことで、辰吉の集中力が増した。課題だった自分からの仕掛けも覚えた。 陣営は、来年4月にも日本、あるいは東洋のランカーと大阪で試合を行い、ランキング入りを果たすと、チャンスさえあれば、すぐにでもタイトルへ挑戦させたい考え。 寿以輝も「来年にはランキング入りしたい」と言うが、タイトル戦に話が及ぶと、「ランキングにも入っていない人間が、そんなこと口にするのはチャンピオンに失礼」と、それ以上の大口はたたかなかった。 だが、リングサイド最前列で夫婦で見守った父の寿以輝評は厳しかった。 「あそこまで追い込んだんだから1ラウンドで仕留めないと、いたぶるみたいでかわいそう。不満というより、どんくさい。いい右は打つけど、後の祭りで、ああいう試合をするとぶさいくに見える。こぢんまりとして面白くない。プロは内容が問われるやん?勝ち方にも意味があるやん?」 辰吉丈一郎が不満に感じた点は3つある。 ひとつは10戦目にしてまだ必殺のパターンがないことだ。 「まとめることが足りない。このパターンになると倒せるという、得意パターンを作らないと。バラバラやもん。4回戦のボクサーと変わらんよ。このパターンが好き、とファンに言わせないと。あれじゃあ誰も勝てんと。そういう“これ”というもんが欲しい。マイク・タイソンのあのパンチみたいな。派手なパターン。それを持っていないと上へいけないやん。パターンを作ったら、相手に覚えられるかもしれんが、それを上回ることをやると、手に負えないようになるやん」 カリスマの父は、WBC世界バンタム級王者、シリモンコンを大阪城ホールに沈めた自らの左のボディアッパーを例に出す。 「ボディを恐れて、そこを警戒するからワンツーが当たる。ワンツーをガードしようとしてきたら、今度は、ボディが当たる」 二つ目は吉井会長も指摘したコンビネーションを出せなかった点。 「連打はできているが、コンビができていない。連打とコンビは違う。連打ならクリンチされるが、コンビにはクリンチができない」 父はワンツースリーフォーどころか、7連打までコンビネーションブローを打った。 寿以輝は立体的に攻める余裕がなかった。 3つ目は左の使い方だ。まだジャブの数が足りない。 「本音で言えば、もっと左の使いようがあったやろ。左がまだ少ない。確かに前に比べてれば増えたけど、そういう素人のレベルの話とちゃうからね。上へ行くためには、もっと左を使わんと。寿以輝は、追う足がないから、あれじゃあ足を使われたら逃げられる。でも左を使えば自分の足が動くんよ」