まさに実物大のわらじ!はみ出るトンカツに心も満腹 発祥の店・小鹿野の安田屋、メニューは「わらじかつ丼」だけ 最初は「かつ丼」、命名の由来は
■変わらない故郷の味 西秩父商工会は約20年前、わらじかつ丼のグルメマップを作成。その時から少し入れ替わりがあるが、小鹿野町で現在、わらじかつ丼を提供する飲食店は約15店あるという。また、最近は秩父市などでも提供店が増えてきた。 小鹿野町内で、安田屋に続く、わらじかつ丼の老舗といえば「鹿の子(かのこ)」。大正時代にカフェとして創業し、昭和9年に料理店となった。4代目の天沼俊美(69)によると、安田屋とは先代の店主同士が同級生で仲が良く、「だから鹿の子でもわらじかつ丼を始めたのでは」と推測する。ただ、鹿の子ではブタのヒレ肉を使っており、安田屋とはまた一味違う。 今でこそ、かつ丼は日常的な食事に近いが、昭和の時代はごちそうという感覚があった。お客さんが来たり、入学式などちょっとした行事の時に、出前でかつ丼を取った。最近は子供が里帰りすると「故郷の味」として帰りに持たせる親もいるという。
ボリュームたっぷりのかつ丼は交流サイト(SNS)映えするが、「奇をてらっていたら、すぐに廃れてしまう」。こう話す天沼にとって、かつ丼は大事にしたい故郷の味だ。「何年かぶりに食べに来たお客さんが『あの時のあの味だ! 変わっていなくて良かった』と思われるようにしたい」