「遺憾であります」航空自衛隊トップも認めた!「高級幹部登用試験」で「試験不正」が発覚!
4月下旬に「特定秘密保護法違反」が発覚したばかり
先日も情報管理のユルさが明るみに出たばかりだ。4月26日、「特定秘密情報を知るべきでない自衛隊員に情報を伝えた」として、陸海自衛隊の佐官級幹部ら5人が停職や減給の懲戒処分を受けた。問題の事例は’22年に2件発生した。陸自では有事の活動に関する特定秘密を隊員に伝えた。さらに海自では特定秘密情報を取り扱う適正評価をうけていない隊員1人に特定秘密の取り扱いを任せていた。 「特定秘密情報」とは、「漏洩すると国の安全保障に著しい支障を与えるとされる情報」のことだ。その秘密を取り扱える人は厳しく管理されている。内部とはいえ、その特定秘密がいとも簡単に複数の隊員に漏れていた。秘密を取り扱うことに適しているかどうかわからない人物に機密性の高い情報が漏洩していること自体、恐ろしいのだ。 この2件の特定秘密保護法違反は、日本の防衛機密上許すことのできない大きな犯罪だ。安全保障上の秘密を扱う幹部自衛官は身辺調査で適性だと評価された人物のはずだ。しかし、適正と判断された幹部自衛官が特定秘密保護法を逸脱して業務をおこなった、ということなのだ。その罪は極めて重く、「機密情報を守る」という原則すら守れないほど、規律が乱れていることを露呈してしまっているのだ。 今国会会期中の2月、セキュリティ・クリアランス法が成立した。これも漏洩すると日本の安全保障に支障をきたす恐れがある情報を「重要経済安全保障」に指定して守るための法律だ。この情報へのアクセスを公務員だけでなく民間企業の従業員も含めて国が信頼性を確認した人にだけ限定するという法律で、重要情報の漏洩が判明した場合、5年以下の拘禁刑や500万円以下の罰金が科されるほか、民間企業の従業員であれば、勤務先の企業にも罰金が科される可能性もある。 お金を積まれても、ハニートラップにあってもルールを守れる人でなければ国の安全保障を任せられない。日本の安全保障に関する秘密や、その安全保障を仕切る指揮命令権を持つ人材は厳しく選定されなければならない、という法律ができた矢先の試験問題流出事件だったのだ。 防衛省の航空自衛隊の広報担当は「再試験を実施することになったことは事実です」と不正があったことを認めた。さらに内倉浩昭航空幕僚長が広報担当を通してこうコメントした。 「1次試験の健全性が損なわれる状況が生起した細部の状況は調査中であるものの、試験問題の管理が一部適切に行われていなかった可能性があり、1次試験の再試験を実施するに至ったことは遺憾であります。再試験を厳正に実施し、公平かつ適正な学生選抜を実施していく所存であります」 再試験については6月下旬に実施する方向で調整中だという。 4月26日に特定秘密保護法違反がわかったとき、木原防衛大臣は「極めて深刻に受け止めている」と厳しい表情で明かしたが、さらに試験をやり直さなければならない不正疑惑が明るみに出れば「本当に自衛隊員が日本を守れるのか」という不安ばかりが国民の中に増幅するだろう。
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