賀来賢人「素晴らしい出会いができるように」ドラマ「龍が如く」での発見:インタビュー
俳優の賀来賢人が、Amazon Originalドラマ『龍が如く ~Beyond the Game~』(Prime Videoで10月25日に1~3話、11月1日に4~6話が独占配信)に出演。主人公・桐生一馬の幼なじみである錦山彰を演じる。本作は、セガの人気ゲーム「龍が如く」を基に、Amazon Originalドラマとしてオリジナル脚本で実写化したクライム・サスペンスアクション。架空の歓楽街・神室町(かむろちょう)を舞台に、主人公・桐生一馬(演・竹内涼真)の成長物語を全6話のオリジナルストーリーで描く。監督は『百円の恋』『全裸監督』の武正晴が務める。インタビューでは、本作の撮影の裏側から、意気投合したという共演者の竹内涼真とのエピソード、世界を意識したきっかけについて話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】 ■みんなを引き連れて歩くシーンは気持ちよかった ――錦山を演じるにあたり、どのような準備をされましたか。 芝居の対比をいつも以上に表現できるよう挑みました。今回、脚本を読んで一番やりたいと思った役が錦山でした。すごくシンパシーを感じていましたが、いざ演じるとなると想像以上に体力と気力、精神力をすごく使う役だったので、撮影が終わった後は毎日ぐったりしていました(笑)。 ――どんなところを大切にしながら撮影されていましたか。 劇中では1995年と2005年の2つの時間軸で描かれるのですが、観てくださる方にその10年間を想像してもらうにはどうしたらいいのか、そこは監督と話し合いながら進めていきました。 ――1995年のシーンでは竹内涼真さんとバディー的な感じがありますが、実際にご一緒されて竹内さんの印象はいかがでした? とても好青年でした。真面目でストイックで向上心が高い。久々に僕と気が合った人と出会ったので、現場でたくさんおしゃべりしました。不器用な面もあるのですが、それがすごく桐生一馬に合っていましたし、現場を姿勢で引っ張るタイプだと感じました。その姿を見て僕も彼を支えてあげたいと思いました。本当にいい男です。 ――現場の雰囲気はいかがでしたか。熱気がすごい現場だったとお聞きしています。 おっしゃるとおりで熱量がすごかった。武監督がすごい勢いで僕たちを引っ張ってくださって、それがすごく心地が良くて。こっちも武監督が運転するとんでもない馬力の車に気付いたら乗っていたみたいな感覚がありました(笑)。すごく面白い体験ができました。 ――ところで、賀来さんが撮影全体を通して一番テンション上がったシーンはどこですか? 僕はヤクザの人たちが集まっているシーンにテンション上がりました。自分の知らない世界で、実在するヤクザという独特な社会背景を、組長として体験できたのは大きかったです。その中でもみんなを引き連れて歩くシーンがあるんですけど、すごく気持ちよかったです。こんな強面の人たちが自分のような人についてくるというのは、とてもエキサイティングでした。 ――竹内さんとはどのようなやり取りをされましたか。 まずは作品をどう作り上げていくかといった話から、プライベートや業界のこと、また、本作は世界に配信されるので、世界に向けてどのようにアクションしていけばいいんだろう、といったことを話していました。 ――その中で一番印象に残っている話題は? 竹内くんは向上心があり、未知のものに臆さない人です。僕も危険に飛び込むのが大好きなので、どうチャレンジしていこうかといった話でとても盛り上がりました。とても刺激も受けましたし、話も本当に面白かったです。 ――竹内さんのお芝居、撮影の中で感じたことは? 実は自分の芝居にかなり集中していたので、撮影のことはあまり覚えていないんです。ただ、完成した映像を観て、改めてすごい役者さんだなと思いましたし、彼が主演でよかったと思いました。 ――共演された河合優実さんはいかがでした? 今さまざまな作品で活躍されています。 落ち着いていて素晴らしい存在感があります。今回ご一緒して覚悟を持って現場に挑んでいる印象を受けましたし、子どもみたいな瞬間もあって、とても魅力的な人です。ただ、本作で一番恐ろしかったのが僕と河合さんはほぼ同級生の役だったんです。実際の年齢は一回り違うのに、違和感を感じなかったのはすごいなと思いました。今もすごいのですが、自分なりの表現方法をされていて、日本を代表する俳優になると思います。 ■なぜ保身に走っているんだ ――竹内さんと世界に向けてのお話をされていたとのことですが、そのモチベーションというのはどこから来ていますか。 コロナ禍が明けて思ったことがありました。よくよく考えたら、なぜ自分は仕事がずっとあると思っていたんだろうって。役者になることを親にすごく反対されましたし、こんな特殊な仕事を選んだはずなのに。でも人はずっと続けていると、安定を求め始めます。でも、それはとても難しいことです。 コロナ禍が明けてから、だったら好きなことをやった方がいいと思いました。所属していた事務所を辞めて製作会社を作ったり、まだやったことがないことを全部やってやろうと思いました。正直、少し歯止めが利かなくなっている感じです(笑)。周りからは「行動力があってすごいね」とか言われるんですけど、なぜ保身に走っているんだという考え方になってきています。 ――家庭もある中で守りに入るのも不自然なことではないと思います。 周囲のサポートもあり、いつも助けられています。『龍が如く』は独立して僕が一発目の仕事で、日米クリエイターで『龍が如く』のオリジナルドラマを制作するという文言だけですごくワクワクして、絶対やりたいと思いました。 ――世界への意識が強くなったきっかけは? 世界へ配信される作品をやってみてびっくりしたことがありました。アメリカに行ったときに自分の存在が気づいてもらえる世界配信って本当にすごいなと。それと同時に『SHOGUN 将軍』がとんでもない偉業を成し遂げて、ああいうのを見るともっとやれると思うし、先輩たちが体を張ってレールを敷いてくれたからには、僕らも挑戦しなければと思います。 ■現場では無理せず自然体でいること ――本作を撮影していく中で気づきや発見はありましたか。 今回珍しく、ほぼ共演したことがない方々でした。出会ったらみんな素敵な方々で、非常に才能を持っていて、まだまだいくらでもこういう出会いってあるんだろうなという発見がありました。特に竹内くん、武監督は素晴らしい出会いだったと思っています。今後もこういう素晴らしい出会いができるように頑張らなければと思いました。普段はあまり共演者と食事に行くことはほとんどないのですが、竹内くんとは今も良い交友関係が続いています。 ――ほとんどの方が初めましての中で、賀来さん流のコミュニケーションの取り方みたいなものはありますか。 あまり現場では話さないタイプといいますか、話すけど話さないみたいな(笑)。この感覚わかります? ――わかります(笑)。 この仕事はすごく瞬発的なものだと思っています。友達というわけではないし、実際なかなか友達にもなれない。たまに竹内くんみたいな人と出会えたりするのが素晴らしいことですが、基本僕は無理に相手を気持ちよくさせようとも思わないんです。人間関係はあまり気にしない性格と言いますか、自分が座長の場合は僕が楽しそうにしていれば、皆さんもきっと楽しくなると信じていて、無理せず自然体でいることが大事なのかなと思っています。コミュニケーションを取りすぎてもダメな場合もあるし、その塩梅がけっこう難しいなといつも思っています。 (おわり)