米大統領選 共和党・予備選ではトランプ氏が勝っても「本選」ではわからない
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が1月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米大統領選の行方について解説した。 【写真】「トランプかかってこい」と挑発するヘイリー氏
アメリカのGDP、市場の予想を上回る3.3%増加
米商務省が1月25日に発表した2023年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)の速報値は、年率換算で前期比3.3%増となった。伸びは前四半期の4.9%増から鈍化したが、市場予想の2%増を上回った。 宮家)景気が底堅いのでしょうね。人が足りず、人件費が上がっているから値段も上がる。私は先日ハワイに行きましたが、やはり1ドル=110円の時代と150円では全然違いますね。 飯田)風景が変わりますよね。 宮家)食べる量も変わりますよ。アメリカが引き続き堅調であるのはけっこうですが、我々にとっていちばん大きなことは、やはり選挙ですよね。
トランプ前大統領とヘイリー元国連大使の一騎打ちとなった共和党の候補者選び
飯田)今年(2024年)は大統領選を控えています。 宮家)共和党の予備選挙では、トランプさんは討論会にも出ず、余計なことを言わないようにしている。その一方で裁判所に行き、裁判官に食ってかかって窘められているのです。しかし、それでもトランプさんの支持率はダントツです。ニューハンプシャー州の予備選挙では、直前にフロリダ州知事のデサンティスさんが撤退を表明しました。そしてヘイリー元国連大使とトランプさんの一騎打ちになった。
無党派でも参加できるニューハンプシャー州の予備選挙 ~ここで勝てなかったヘイリー氏が他の州で勝つことは難しい
宮家)結論から言うと54.6%対43.1%で、ヘイリーさんが2番手につけたのだけれど、43.1%というのは相当、底上げされた数字だと思います。なぜかと言うと、ニューハンプシャー州の予備選挙は他の州とは違うからです。通常、共和党の予備選挙を行うときは、共和党の有権者として登録した人が参加できるので、その人たちだけでやるとトランプさんが圧倒的に強い。彼らは「自分は共和党だ」と宣言して登録した人たちですから。 飯田)共和党の支持者たち。 宮家)ところがニューハンプシャー州の選挙は、無党派の人でも「私は選挙人として登録しているけれど、無党派です。でも共和党の予備選挙に参加します」と言うと、参加できてしまうのです。そういう人たちがたくさん入ってきて、それがヘイリーさんの票になったのだと思います。 飯田)無党派の人たちの票が。 宮家)逆に言うと、そういう変則的な州ですから、ここでヘイリーさんが勝てなければ、逆転などとても無理なのです。普通の州に行ったらトランプさんが圧倒的に有利ですから。……ということで、みんな固唾を呑み、追いつけるのか、もしくは追い越せるのかと見ていたのです。数%ぐらいまで差が縮まったこともあったけれど、反トランプの人たちにとっては残念ながら、約10%の差がついた。確かに善戦したかも知れないけれど、実質的にはトランプさんの勝ちですね。