経験自慢や寄り添い風の押し付けは“若年老害”!? 新たに“若害”なる言葉も… 竹中平蔵氏「“老益”や“若益”もある。割り切りが必要」
経済学者で慶応大学名誉教授の竹中平蔵氏は、「一番老害を感じなかったのは、大蔵省で働いていたときだ」と振り返る。「怒鳴りつけられても、『それおかしい』と言い返す。その繰り返しで、老害を感じなかった。老害や若害があれば、“老益”や“若益”もある。終身雇用・年功序列で自由がなかった時代とは違い、割り切りが必要ではないか」。 作家の乙武洋匡氏は「先輩が築いてきた経験は財産だ」と語る。「大事なのは伝え方。『○○だから、しろ』と命じると老害になるが、経験談をメリットやデメリットとともに提示すれば、老害化はある程度防げる。若年老害を恐れて、経験やキャリアを下に伝えないのは、継続性の面でもったいない」。
■「若害」なる言葉も…たかまつなな「なんでも『害』と言い過ぎだ」
老害に対する言葉として、「若害」も話題になっている。おれおさんの実感としても、「端的に物事を考える人が増えている」のが現状だ。「チャットツールでアドバイスしても、『ありがとう』とかえってくるのではなく、いいねのスタンプのみ。指導を受けたときのビジネスマナーとして良いのかと感じて、『私より上長には、そういうやりとりをしてはいけない』と伝えるときもある」。 時事YouTuberのたかまつなな氏は、昨今の風潮を「なんでも『害』と言い過ぎ。教育をしっかりしてこなかった弊害だ。自分の意見を言うことは、相手の人格を否定しているわけではない。どう合理的に調整するか、考え方が違っても結論を決めることが大事だと学校で教えないから、『自分の意見を否定された』と感じる」との意見を述べる。 大空氏は「老害という言葉は、歩み寄りを求める文脈でできた言葉ではない」とし、「不満のはけ口として『あいつ老害だよね』と言い合うことで機能していたが、『歩み寄ってほしいのでは』といったニーズが生まれた。自分が『若年老害だ』と自覚した時に、インプットやアウトプットが少なくなる懸念がある」との見方を示した。
「若年老害」と「若者」の差は、どう埋めればいいのか。ワークスタイル研究所の川上敬太郎氏は、年下にもリスペクトを持ち、自分にないものを与えてくれると考えることや、「○害」と呼ばず、年齢差別でなくハラスメントで対処すること、年齢関係なく立場(上司部下)が逆になる可能性を頭に入れておき、自身の言動への抑止力とすることなどを挙げる。 乙武氏は「リバースメンター制度」の重要性を語る。「メンターは年長者や経験豊富な人物がアドバイスするものだったが、それをひっくり返す制度。年下からも学ぶべき点があると、リスペクトの意識を持つだけでも変わってくるのではないか」。 竹中氏は、「ある教育機関の調査によると、世代間の問題を解決している人は、圧倒的に三世代同居が多い。これは最も身近なダイバーシティで、核家族化になればなるほど、気をつける必要がある」とした。(『ABEMA Prime』より)