なぜ今治? 日本屈指の海事都市の起源をたどる
造船、海運、舶用業が盛んで、日本一の海事都市と呼ばれる今治市。市内を歩くと「○○汽船」「○○海運」といった企業看板が点在している。海に近づくと巨大な船体やクレーンが目に入り、中心部には地元金融機関以外にメガバンクや中四国の地銀などが軒を連ね、業界を支える。今や世界を股にかける海事産業は、どのようにして生まれたのか。起源を追い、歴史をひもといた。(西開地恭輔) 【国内シェア20%の新造船建造】 市海事都市交流委員会の資料によると、市内には現在、造船建造量国内1位の今治造船や新来島どっくなど造船会社が14社あり、全体の新造船は2022年で約80隻、国内シェアの約20%を占める。 外航船の海運会社は約70社。それらは「今治オーナー」と呼ばれ、国内の外航船の約3割を所有する。舶用機器に関する企業も約160社に上る。幅広い業種が一堂に集まり、世界屈指の「海事クラスター(産業集積)」を形成している。 「船に関し、今治で造っていないものはほとんどない」。愛媛銀行出身で長年、船舶融資に携わる西瀬戸マリンパートナーズの日野満代表(64)は語る。造船・海運業が今治で発展してきた背景には、複数の理由が考えられるという。
愛媛新聞社