広島県2024年度予算案、物価高や若者の県外流出対策は? 暮らしと経済、地域はどうなる?
広島県の2024年度当初予算案は、国の経済対策を財源にした23年度補正予算案と一体的に編成した。23年12月に可決された23年度補正予算の一部を合わせると、一般会計の総額は1兆1240億円になる。経済成長▽暮らし・教育▽地域づくり▽物価高・人手不足―の4項目で主な事業を紹介する。 【一覧表】広島県2024年度予算案に盛り込まれた主な事業
<経済成長>サミット効果でブランド力強化
先進7カ国首脳会議(G7サミット)で高まった広島への注目度を持続させ、県のブランド力の強化を図る。 県産の農林水産物の魅力をアピールするおいしい!広島推進事業で新たに、広島の料理人によるイベントを首都圏で開催。交流サイト(SNS)を使った情報発信にも取り組む。商談会を通じ、カキや日本酒の輸出先の開拓に向けたPRを強める。 労働者のリスキリング(学び直し)は、企業に民間コンサルタントを派遣して社を挙げて取り組む体制の構築を後押しする。日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区(呉市)の跡地を産業用地として活用するため、呉市と連携して調査を始める。
<暮らし・教育>若者の県外転出、要因を調査
若い世代の定住促進や暮らしやすい環境の整備に取り組む。若者の県外への転出要因を調査し、新たな対策を検討する。東京圏から県内企業に就職する大学生を対象に就活時の東京―広島間の交通費の半額を補助する。 子育て支援では、家庭内で家事・育児の負担が女性に偏っているとして、男性の参画を促進する大型プロモーション事業を展開する。 児童虐待に適切に対応するため、児童相談所の機能を持つ県こども家庭センターを拡充。西部と東部のセンターにそれぞれ支所を整備し、2025年度の開設を目指す。広島市東区二葉の里地区への新病院建設では基本設計を始め、地盤調査などの準備に入る。
<地域づくり>交通空白地域での新たな移動サービス模索
人口減少と高齢化の進む中山間地域で、住民が安心して暮らし続けるための集落対策を新たに講じる。住民の話し合いや計画作りを支援する専門人材を派遣するほか、食料や燃料などの生活物資を供給するサービスを維持する仕組みもつくる。 公共交通のない「交通空白地域」で、新たな移動サービスを導入するための制度設計や調査もスタートさせる。
<物価高・人手不足>中小企業向けのメニュー用意
長期化する物価高騰を受け、影響の緩和と事業者支援の両面で対策を進める。電力やガスなどの価格高騰の影響が大きい中小企業向けに、地域の実情に応じたメニューを用意する。 路線バスなど地域公共交通事業者には、燃油費高騰分の影響額の一部を補助し、環境対策やデジタル化対応などの新たな投資も促す。 人手不足の課題解決にも取り組む。物流の2024年問題に対応するため、中小トラック事業者を対象に、荷役作業の効率化を図る機器の導入や人材確保の環境整備を支援する。
中国新聞社