みずほが注目する、テック系スタートアップ2社:日本の企業家ランキング
Forbes JAPANが主催する「日本の起業家ランキング」のパートナー企業であるみずほ銀行が、ランキング評価委員会による審査とは別に、同社の独自審査によって「〈みずほ〉賞」を選出した。 日本の国家戦略の一丁目一番地にスタートアップが据えられ、彼らがつくるより良い未来への期待がますます高まっています。今回の〈みずほ〉賞の選考においても、「イノベーティブな事業に挑戦し、日本の経済・社会に大きなインパクトをもたらしているか」という点から、活躍する2社を選出しました。 IT部門は、急速に進展する産業DXの潮流を踏まえ、産業課題解決への貢献度やビジネスの成長可能性に着目し、審査を行いました。一方、DeepTech部門の審査は、社会課題へのインパクトの大きさ、テクノロジーの優位性、ビジネスモデルの持続可能性に重点を置いています。 IT部門で選出したFastLabel(ファストラベル)は、AI開発に必要なプロセスを一貫して支援するプラットフォームを提供しています。AI開発では多くの場合、開発全体の80%以上の時間を教師データの作成が占め、労働集約的な手法による高コスト構造と、「本番でAIが機能しない」など、トラブルが生じた際に原因の特定が困難となる開発プロセスのブラックボックス化が大きな課題とされています。 そのなかで同社は、特に非構造データ(画像、音声、動画、テキストなど)のアノテーション作業を自動化するなど、AI開発のボトルネックとなるデータ準備の課題を解決し、高品質なデータによるAIの精度向上を実現しています。さらに、エンジニアでなくても使いやすいUI/UXを備えたプラットフォームで、多様な物体に対応したアノテーションの自動化に加えて、権利がクリアな大規模データセットを提供することで、ブラックボックス化を防ぎつつ、迅速で効率的なAI開発を可能にしています。 同社の鈴木健史代表取締役CEOは、AIエンジニアとして実際に肌で感じた課題からいち早くプロダクト開発を開始し、「AI開発プロセスの高度化」に向けて取り組んできました。その実体験に基づく事業への解像度や志の高さが、優れたチームを集めるとともに、優れたプロダクトを生み出し、結果として大手企業からの多数の引き合いにもつながっているのでしょう。 AIインフラを創造し、日本を再び「世界レベル」へ。今後、AI需要が拡大するにつれて、同社がさらに飛躍していくとともに、あらゆる産業を革新していくことを期待しています。 ■IT部門|FastLabel 鈴木健史 代表取締役CEO 設立|2020年1月 資本金|19.7億円(資本余剰金含む) 従業員数|約100人 事業内容|「AIインフラを創造し、日本を再び『世界レベル』へ」をパーパスに掲げ、2020年1月の創業以来、画像領域を中心としたAIの教師データ作成代行やアノテーションツールの提供を主力事業として展開。現在では、「AIPaaS」として、データセントリックなAI開発プロセス全体を包括的にサポートするサービス(業務代行・コンサルティング)およびシステム(各種ツール)を提供している。