25年度は実質賃金プラス定着へ、個人消費が成長けん引-政府見通し
(ブルームバーグ): 内閣府は26日公表した政府経済見通しで、2025年度も高水準の賃上げが期待される中、物価変動を反映させた実質賃金のプラスが定着するとのシナリオを示した。所得環境の改善が個人消費を喚起し、経済成長をけん引する姿を描いている。
政府見通しでは、25年度の消費者物価指数(総合CPI)が前年度比2.0%に鈍化する一方、名目賃金は24年度と同じ2.8%の伸びを維持すると見込む。可処分所得の増加に伴い、個人消費も実質で1.3%増にプラス幅を拡大する見通し。内需主導で実質国内総生産(GDP)成長率は1.2%に加速するとみている。
デフレ型経済からの脱却を掲げる石破茂政権は、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現を目指している。11月には物価高への対応や所得向上を柱とする財政支出21.9兆円規模の総合経済対策を決定した。来年1月発足のトランプ次期米政権で想定される保護主義的な政策に各国が身構え、世界経済の先行きに不透明感がくすぶる中、賃金上昇をてことする内需の持続的な回復が経済成長の鍵となる。
25年にかけて物価上昇を上回る賃金上昇が定着するかどうかは、日本銀行の金融政策を見通す上でも注目される。植田和男総裁は25日の講演で、国内では「目先の大きなポイントは春季労使交渉に向けた動き」だと指摘。2%の物価上昇と整合的な賃上げを当たり前のこととして社会に定着させていくことが重要だとの認識を示した。
内閣府によれば、25年度の成長率見通しが達成されれば供給制約の局面に入り、潜在GDPの直近実績値(年率0.5%)に基づくGDPギャップ(需給ギャップ)は0.4%と、18年度以来のプラスに転換するとみている。
来年度予算
政府は経済見通しを前提とした来年度予算案について、一般会計総額を115兆5000億円程度とする方向で調整している。当初予算ベースでは2年ぶりに増加し、過去最大となった。27日に閣議決定する予定。