宮城県立精神医療センター 富谷市への合築移転を断念し名取市で建て替えへ
khb東日本放送
宮城県が進める仙台医療圏の4つの病院の再編について、村井知事は県立精神医療センターと東北労災病院を合築し富谷市に移転させる計画を断念しました。
村井知事「施設老朽化の状況や早期の方針決定を望む患者等の意見を踏まえて、精神医療センターを名取市で建て替える方向で検討を進めて参ります」 県は病院を再編し、名取市の県立精神医療センターと仙台市青葉区の東北労災病院を合築して富谷市に移転させる計画を掲げていました。 病院の移転に対して、患者や専門家を中心に根強い反発が続いていました。 13日に開催された宮城県の精神保健福祉審議会では、宮城県が初めて名取市での建て替えを正式な選択肢として示し、審議会は全会一致で名取市での建て替えが妥当と決議していました。 宮城県は今回、東北労災病院の移転の検討に更に時間がかかる一方で、精神医療センターが老朽化し患者も早く方針を決めるよう求めているとして富谷市での合築を断念しました。 精神医療センターは、仙台赤十字病院と統合する名取市の県立がんセンターの跡地が候補地となっています。 村井知事「有力な候補地が1つできたことで、一歩踏み出すことができたということであります。二転三転したわけではなくてですね、色々紆余曲折はございましたけれども、ここにやっと至ったと捉えていただきたい」 宮城県は、東北労災病院と引き続き富谷市移転を念頭に協議を進め、宮城県北部の患者に対応する精神科の機能を設けたい意向です。 精神医療センターの名取市での建て替えの方針が決まり、山田司郎名取市長は利用者に寄り添った判断だったと宮城県の対応を評価しました。 山田司郎名取市長「患者さん等の声に寄り添った形でご判断いただいたと思っております。非常に名取市にとっても県南にとっても大きなご判断をしていただいたと思っていまして歓迎したい」 山田名取市長は、精神医療センターの立て替えの候補地として挙げられている県立がんセンターの跡地について、アクセスの向上などできる限りの支援を行っていきたいとしています。 宮城県の病院再編の進め方に疑問を呈してきた仙台市の郡市長は、患者や住民などの意見を踏まえた判断と評価し、今後も不安や疑問を真摯に受け止めるよう求めました。 富谷市への移転を念頭に協議が続く東北労災病院について、市民団体は東北労災病院にも宮城県との協議中止と現在の場所での存続を求めました。 宮城県庁前での抗議活動には、4病院周辺の地域住民や市民団体の東北労災病院を守る会のメンバーなどが集まりシュプレヒコールを上げました。 この後に団体は東北労災病院を訪れ、富谷市移転の考えを崩さない宮城県との協議を中止して現在の場所での存続を訴えました。 東北労災病院を守る会小玉高弘事務局長「(名取市での精神医療センター建て替えという)本日の発表は遅すぎる決断だった。引き続き富谷市への単独の移転ではなく、現在地での存続を最後まで求めていく」 11月21日で就任から20年目に入った村井知事は、精神医療センターの建て替え問題を最重要課題の1つと位置付けていました。 宮城県議会では、富谷市移転を主張していた村井知事が方針を転換した経緯や東北労災病院の今後について厳しい質問が飛ぶ見通しで、村井知事の対応に注目が集まります。
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