「衝撃」選挙に強い自民深沢氏が国民田中氏に負けた 衆院選で吹いた風 地元紙記者が2024年の政治を振り返る(下)
日頃の「地元回り」がものを言う
宮嶋: 衆院選公示後の序盤のタイミングで電話調査をしたとき、深沢さんと田中さんが競っているという結果が出て、嘘だろう?と。それでも深沢さんが勝つだろうと、その時点では思っていた。 なぜなら2020年の衆院補選や21年の衆院選では、田中さんに対して深沢さんが圧勝していた。今回も同じような展開だろうと思っていたら、全く違った。 後付けかもしれないが、深沢さんは前回選以降、外務大臣政務官の役職を引き受けるなどして、さっきの二階さんの話ではないが、地元回りが結果的におろそかになった。その間、田中さんは地道に地元の選挙区を回り続けていた。それが今回、自民への逆風と合致して、さらに国民への追い風もあり、全てが田中さんに有利な流れになった中での結果となった。 「元々静岡4区は自民党支持層が厚い選挙区ではない」と、深沢さんの陣営のベテラン関係者が言っていた。亡くなった望月義夫さんが、“望月党”を築き上げた。20年、21年の深沢さんが圧勝したところまでは、その強固な“望月党”のうまみというか、その強さを引き継いで戦えたから、そのまま圧勝できた。 今回に関して、また今回以降に関しては、深沢さんがいかに巻き返すか。これからはもう望月さんに頼れない、個人の力で勝負するしかないという流れになっていくのだろう。 市川: 4区の田中健さんは今回、衆院選全体で議席を4倍に増やした国民の議員だった。国民は与党には入っていないが、「103万円の壁」などを中心に国会の中でキャスティングボートを握り、報道されない日がないぐらい注目を浴びている。中でも幹事長である榛葉賀津也さん。静岡県選出の参院議員だが、今かなり注目を集めている。SNSでは榛葉さんの切り抜きなどがすごく出回っていて、しかも結構閲覧されている。 菊川町議から長年、静岡県内の選挙を戦ってきた方で、参院議員も長年やっているので、僕らからすると知らない人はいないが、全国的に人気のあるイメージはない。今の全国的な人気についてはどう思うか。