岩山利久組合長理事

生活協同組合コープこうべは今期、減収減益を計画する。店舗は改装による休業、宅配は職員の処遇改善を目的とした一斉休暇を夏季に導入することが減収要因となる。加えてデジタル化やシステム刷新のための投資を予定しており、供給高は前年比98%の2409億円、経常剰余金は同38.1%の20億円を見込む。 岩山利久組合長理事は6月4日に開いた決算会見の席上、「将来へ向けた意味のある減収減益計画であり、しっかりと取り組む」と強調した。 店舗事業は同98・2%の1138億円を計画。既存店はメニュー提案型の売場作りに注力し、650坪と400坪でそのモデルパターンを作る。また、8月末に開店予定のコープ伊丹はコープ商品を軸とした「今までにない店」(同)とする。 コープ箕面中央、コープ長田、コープ加西の3店は営業終了候補店とし、組合員に情報を開示しながら業績改善に取り組む。 宅配事業は同97・8%の1216億円を計画。岩山組合長は「くらしの安心を支える事業へと転換する」と強調。商品を受け取る「地域めーむひろば」、組合員を店舗に送迎する「買いもん行こカー」などを活用しながら、地域に応じた買い物支援体制の確立を目指す。 また、今年の盆時期に宅配事業を休業し、職員が1週間休めるようにする。約20億円の供給高減少が見込まれるが「お盆前に特別カタログを作るなど前後に補強し、マイナス幅を抑える努力をする」(西田浩三常務理事)としている。 なお、23年度決算は増収増益だった。宅配事業は物価高により点単価は増えたものの、利用点数、利用軒数とも前年を下回った。店舗事業も客単価と点単価が上昇した一方で、客数と点数が減少。 工場生産品の移行による値入率やロス率の改善をはじめ、水道光熱費の減少、業務生産性の向上などにより供給総剰余金は計画を大きく上回った。

岩山組合長の話

今期は中計2年目となる。人の確保が年々厳しくなっており、それができなければ事業活動も前に進まない。働きやすさと生産性向上に寄与する、新たなシステムへの準備も進めており約30億円を投資する。 今後、競争が激しくなる中で供給高が伸びるとは見ていないが、供給構成比は変わるだろう。宅配の支持が強まり、その構成比が高まることで収益性も上がる。供給高を追いかけるのではなく、暮らしに寄り添い、評価される組織にならなければならない。