目指すは甲子園と東大 究極の文武両道を行く茨城・明秀日立の台湾人留学生、リ・ブンシュン選手
6日に開幕する全国高校野球選手権茨城大会。2年ぶりの優勝をねらう明秀日立高の4番は、台湾からの留学生、リ・ブンシュン選手(3年)だ。身長183センチ。一発も期待できる大型左打者は、甲子園出場と東大合格という究極の文武両道を目指す。 小学校1年生のとき、台湾で放映されている甲子園大会のテレビ中継を見て、大舞台にあこがれた。留学を前提に日本語の家庭教師に学び、外国人らが対象の日本語能力試験の最高レベル(N1)に中学3年生で合格。台湾での学業成績も常に上位だった。 明秀日立に進学したのは野球部で台湾からの留学生の受け入れ実績があり、巨人の坂本勇人選手らを育てた金沢成奉監督の指導も受けてみたかったためだ。ただ、入部してみると練習量の違いには驚いた。「台湾での素振りは一度に200本程度。こちらは2千本を振るので」。 金沢監督は「彼の場合、日本語での会話に問題がない。言葉の理解力がそのまま野球の吸収力につながっている」と入部後の成長ぶりに目を細める。 もう一つの夢である赤門を目指したのは、かつてプロ野球の日本ハムなどに在籍した東大OB、宮台康平投手の存在を知ったからだ。「文武両道のトップ選手。自分の理想だった」。 高校でのテスト前には、学生寮の食堂で日付が変わるまで勉強する。「夜のほうが集中力が出るので。東大では好きな物理学を専攻したい」とうなずく。六大学でのプレーが目標だが、「東大からプロ入りした選手は全員投手(入団時)。もし、野手として初指名されれば行ってみたい」と目を輝かせる。 指揮官は「軸がしっかりして、下半身を使う腰の据わったバッティングができる」と今大会での活躍を期待する。本人は「結果はもちろん大事だが、自分がここまでやってきたことを信じ、全力でプレーしたい」と3年生として最後の夏に臨む。(三浦馨)