「嘘の笑顔で自撮りする人」が幸せになれる根拠 ニッコリ笑った自撮りがもたらすスゴイ効果
■つくり笑顔でも脳は勘違いする このチェンらの研究のポイントは、〝笑顔〞の自撮り写真である点です。 ハッピーアクションとするには、あくまでもニッコリ笑った自撮りでなければいけない。 しかし、自撮りをするにしても、笑顔で撮るのは難しいと感じる方も多いでしょう。そんな方は、グループB・Cのような、自分の好きなものや、家族や友人が喜びそうな写真を撮影するとよいでしょう。 ただ、それはそれとして、「嘘の笑顔でもいいから自撮りをする」というのも1つの手です。
なぜなら、単純な脳は、つくり笑顔でも「心から笑っている」と勘違いしてしまうことが分かっているからです。 笑顔には、さまざまな健康効果があることが分かっています。カンザス大学のタラ・L・クラフトとサラ・D・プレスマン[2]は、つくり笑顔でも効果があることを実証しています。 彼らは、被験者に1分間、氷水に手をつけてもらうなどして、ストレスを与えたあとに、次の三つの方法で箸をくわえさせる実験を行いました。
①軽い微笑みに見えるように箸をくわえる ②口角が上がって大きな笑顔に見えるように箸をくわえる ③リラックスした状態で特に表情に変化がないように箸をくわえる どうしてこんなことをしたかというと、笑顔にはストレスホルモンのコルチゾールの分泌を抑制する効果があるからです。 ■「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しくなるのだ」 要するに、本当に楽しくて笑うのではなく、箸のくわえ方で「笑顔っぽい」顔になるだけでも、本来の笑顔が持つストレス軽減効果があるか――を測定しようとしたわけです。
そうして箸をくわえた被験者の心拍数やストレス度を計測すると、②「口角が上がって大きな笑顔に見えるように箸をくわえる」被験者たちの心拍数やストレスが、最も低いという結果が出ました。 心理学者のウィリアム・ジェームズ[3]は、「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しくなるのだ」と述べています(これを「ジェームズ・ラング説」と言います)。 さらに、「体が先、脳が後」という順番もポイントになります。このことをご存じでない方は、私たちの体の動作は「脳が体に指令を出して、それを受けて体が動く」という順番で決まっていると思われるかもしれません。