英紙がバッサリ「日本でユニコーン企業が育たない単純明快な理由」
日本の起業家に足りないもの
日本がピュニコーンを生みやすいのは、VCエコシステムの活気のなさが一因だが、周囲の状況も大いにそれを助長している。日本の実業界はかなりの部分が長期低迷に苦しんでいるため、スタートアップは革新的なユニコーンの卵だと思われやすい。そうこうしているうちに、個人投資家がIPO株を買う気になってしまうのだ。 日本の経済には、スタートアップがアーリーステージで大きく成長できる程度の余裕があるし、創業者らはデフレ時代に育ったこともあって、ビリオネアではなくミリオネアでも満足しているようだ。米国のスタートアップ創業者ほど前のめりで野心的である必要がないのは、国内に付け入る隙がいくらでもあるからである。 多くのスタートアップ、とりわけeコマースやITサービス、デジタル技術分野であれば、世界のどこかで成功したビジネスモデルを単にコピーし、その分野で大きく後れを取っている法人市場と消費者市場にペーストするだけで済む。世界的に競争の激しい知的財産を破壊したり進化させたりする必要などない。日本には、古いビジネスのデジタル版をいまかいまかと待ち構えている消費者がいるからだ。 日本は、ピュニコーンが存在を脅かされることなくのんきに生き残れる市場がこの先もずっと続いていくわけではないことを、ある程度は認識しているのかもしれない。金利のある世界や人口減少社会、その他の要因が到来したことで、真のイノベーションと積極的なグローバル思考が求められることになるだろう。平穏さはもはや不要だ。
Leo Lewis