札幌初 東京で人気の「文学フリマ」開催 開場前から多数の読者の列が
2002(平成14)年にスタートした、文学作品の展示即売会「文学フリマ」。東京ではすでに22回開催されている人気イベントですが、7月23日に札幌でも初めて開かれました。
芥川賞作家にも影響を与える人気イベント
2015(平成25)年に『火花』で芥川賞を受賞した又吉直樹さんは、この文学フリマに一文学ファンとして訪れ、その後小説の制作に取り掛かるなど、読者のみならず作家にも影響を与えているこのイベント。 「第一回文学フリマ札幌」事務局代表で歌人の広沢流(ひろさわ・ながる)さんは「文学フリマの大きな特徴は、プロ・アマの垣根を取り払って、作家と読者が直接交流できる場になっていることです。文学のイベントというと東京が中心なのですが、地元の札幌でもイベントを開きたいと考えていて、ちょうど文学フリマが日本全国で開催を検討していたこととタイミングが合い、事務局を引き受けることになりました」と語ります。 文学(と作者が考えているものであれば書籍に限らない)作品の展示即売会ということで、作家が読者と直接コミュニケーションを取り、次回作のアイデアの源泉になることもあるとか。また、出版社を通さずに直接購買できることからより自由な作風の作品が多いのも特徴です。
「出展抽選」で選ばれた120団体が出展
今回の「第一回文学フリマ札幌」には120団体が出展。7割が道内から、残り3割は道外からの出展なのですが、実は予定していた出展者より、かなり多くの希望者から申し込みがありました。そのため、文学フリマ全体を見渡しても2008(平成22)年以来の「出展抽選」が行われる人気ぶり。また、当日は開場前に50人以上の読者が列を作り、800部製作したパンフレットも開始2時間で4分の3がなくなってしまうという「嬉しい悲鳴」も。 「作家も読者も待ち望んでいたイベントなのだなと痛感しました。一般流通している作品も出品されていますが、『文学フリマでしか出会えない』作品もたくさんあることも、文学フリマに多くの人が集まる理由なのかなと思います。札幌は東京に比べると、表面的には読書への興味が薄いと思われがちですが、水面下にある需要をどんどん掘り起こして、札幌の文学文化を活性化させていきたいと思っています。」(広沢さん) 会場となった札幌テレビ塔2階のイベントスペース前のエレベーターはフル稼働、このイベントを待ち望んでいた読者がどんどん会場に集まっていました。 来年7月9日に同じ場所での「第二回文学フリマ札幌」開催も決定しています。 (ライター・橋場了吾)