タイの最旬カルチャースポット“ソンワット通り”とは?コーヒーショップや茶館、ルーフトップバーまで網羅
いまバンコクでいちばん面白いエリアはどこ? と現地の高感度な人に尋ねると、多くの声が上がったのが、ソンワット通りだ。エリアの仕掛け人に話を訊いた。 【写真】いまバンコクでいちばん面白いエリア、ソンワット通り。
ここ1年ほどで急速に注目を集めるようになったソンワットは、中華街として賑わうヤワラート通りとチャオプラヤー川の間にあるソンワット通りを中心にした小さなエリア。古くから農産物貿易や香辛料の商売を営む人で栄えた街らしく倉庫が立ち並び、大きな荷を運ぶ人が行き交う。通りの入り口に差し掛かり、「ここが話題のカルチャースポットなのか?」と少し不安も覚えたが、歩みを進めるとヨーロッパ様式の趣ある建造物やウォールアートの姿が目に飛び込み、洒落たリノベカフェなどが点在することがわかってくる。昔ながらの屋台や雑貨店も通りには混在し、“ビューティフルカオス”が楽しめるエリアになっている。 「もともとは3代続くサンダル製造の家業を営んできたのですが、街がさびれていく中で、人を呼び寄せて活性化させるには、アートやカルチャーの力が必要だと感じたんです。自分はアーティストでもあるので、倉庫を改装してギャラリーをつくることにしました」 そう話すのは、ソンワットエリアで生まれ育ったキアティワット‘ウイ’スリチャンワンペン。ソンワット通り初のアートギャラリ「プレイ・アート・ハウス」のオーナーで、この通りが注目されるきっかけをつくった仕掛け人だ。 彼がまず手がけたのは地域のコミュニティづくり。自分の店をもちたい若い世代と不動産オーナーをつなぎ、地域に溶け込めるようサポートを施す。ウイのギャラリーがハブとなり、徐々にその輪が広がると、街を回遊するイベントを開催。「MADE IN SONG WAT」と銘打って人を呼び込むと同時に、自らが発行人となってエリアガイドブック『ソンワットマガジン』を刊行。地域の連帯感を高めるとともに、ソンワットという街の存在をアピールしてきた。 「古い街の中で起こっているクリエイティブな動きがソンワットの魅力だと思います。ソンワット通りは昔から商売で栄えた中華系商人が多く、建築物を見ればわかるように富裕層が多い。この独特な雰囲気を保ちながらエリアの在り方と原点を忘れずに存在しているのがこの街の個性だと思います」 そう語るのは、『ソンワットマガジン』を制作した編集長のパタリーヤ・プアポンサコーン。街の在り方についてウイも続ける。 「商業的な街ではなく、感性をアップデートする街になればいいなと思う。古い建物や街の個性を活かしながらデザインやアートの力で新たな価値を生み、人が集まるという流れは、タイの全体的なトレンドだと思います。その視点で考えても、ソンワットには大きな可能性があります。魅力的な街にするためにいちばん大切なのは、コミュニティの中にいる人間が動くこと。チームワークがあれば実現するのです」