「すごいことだよ、もう。泣きそうになっちゃった」若きエースの88年ぶり快挙に阿部慎之助監督も感激
◆JERA セ・リーグ 阪神0―1巨人(24日・甲子園) 敵地のマウンドで仁王立ちする若きエースを、阿部慎之助監督(45)は三塁ベンチから感慨深い気持ちで見つめていた。戸郷が巨人では沢村栄治以来、88年ぶりとなる甲子園でのノーヒットノーラン。笑顔で出迎えて大偉業に拍手を送り、「ね、すごいことだよ、もう。泣きそうになっちゃった」と胸を熱くした。 5月は制球に苦しみ本来の投球ができない試合もあった。3日の阪神戦(東京D)では6回途中3失点。「大差があって四球。ちょっとだらしなかったので代えました」と辛口コメントを残した。10日のヤクルト戦(神宮)では試合中にベンチ内で自ら歩み寄って横に座り、「たまにストライクが入らない時があるけど打たれてないんだから。イライラせず受け入れて。100%完璧じゃなくてもいい」と助言。期待が大きいからこそ、時に厳しくしながらも、寄り添ってきた。 監督就任直後の昨年11月下旬の都内イベントで戸郷と同席した際に、サプライズで開幕投手を発表した。まだ本人にも伝える前だったが「誰もが認めるリーダーですから」と迷いは一切なかった。「負けてもシュンとしないでほしい。そういう姿も見せてほしい」と先頭に立つことを求め、「コメントや行動も、まだ若いですけど、素晴らしいなと思って見ているので。ふさわしいと思いますよね」と全幅の信頼を寄せてきた。 3月29日、東京Dで新監督として1試合目、昨年の日本一の阪神との開幕戦マウンドを託して白星発進。そんな右腕の、甲子園でのノーヒットノーランに、「前回、前々回とか、自分で思うようにいかなかったんだけど、それを修正できるすごさもある。もうジャイアンツの投手陣を引っ張っていく存在ですから。開幕投手に指名したのも僕だし。そういう意図は本人も気づいてくれているはずなんでね。球数もいっていたんですけど、あまり代え時がなかった。最後まで投げ切ってほしいと思って見守っていました」と123球の快投を絶賛した。 試合前までチームは引き分けを挟んで4連敗中。甲子園では今季3試合で1分け2敗だった。「鬼門だとよく言われているので。そこでこういう勝ち方ができたことはチームにとってもすごく大きい」と1―0でつかんだ勝利の重みをかみしめた。(片岡 優帆)
報知新聞社