「これは返金レベル」 1回数万円の“鉄道撮影会”で起きた失態に、ファンの不満爆発? 落胆と満足の境界はどこにあるのか
鉄道車両撮影会の魅力
鉄道ファンを対象にした鉄道車両の有料撮影会が人気だ。普段は立ち入ることのできない車両基地などで希少な機関車や電車をカメラに収められるのが最大の売りだが、一方で内容の充実度には開きがある。 【画像】えっ…! これが60年前の「新横浜駅」です(計16枚) 車両の全盛期の姿を徹底して再現するなど、ファンの期待に十分に応えた撮影会がある一方で、逆光や影など撮影を阻害する状況に無頓着なために落胆を招くケースも多い。参加費は 「数万円」 と高騰気味で、参加者の満足度のハードルは上がっている。車両という鉄道会社最大の「財産」を生かすために、現場同士の情報共有が一層欠かせない。最近開催されたふたつの撮影会を例に考えたい。
機関車の「顔」に落ちた影
「これは返金レベル」 「影落ちひどすぎる」 1月26日にJR高崎駅構内で開催された、JR東日本高崎支社による撮影会「『EF65 501号機 ヘッドマーク装着撮影会』~ブルートレインに想いを馳せて~」についてのSNSでの感想だ。 EF65とは鉄道ファンにはつとに知られた機関車で、1965(昭和40)年から2008(平成20)年にかけて東京と九州、山陰などを結んだ寝台特急・急行(いわゆるブルートレイン)をけん引した。 「あさかぜ」「さくら」などの円形のヘッドマークを掲げた姿は鉄道ファンの心をつかみ、1970年代半ばには「ブルートレインブーム」も起こったほどだ。なかでも501号機は1965年に製造された初期型の「500番台」のうち、現役最後の1両。国鉄の全盛期を今に思い起こさせてくれる、数少ない存在である。 撮影会のタイトルどおり、当日は501号機の前面に寝台特急「あさかぜ」のヘッドマークを掲出し、後部には客車を連結。往年のブルートレインの雰囲気を再現した臨場感は、参加者の心をがっちりとつかむ演出になるはずだった。 しかし、そうはならなかった。参加者したAさんは話す。 「会場に入った瞬間、がっかりしました。なにしろ、機関車の『顔』に架線柱のビームの影がかかって、全く絵にならなかったのです」 架線柱とは電車に送電する架線を支える柱で、ビームとは架線をつるすための梁のこと。冬の快晴の西日が差し込み、電光型のビームの影が、クリーム色の機関車前面に、墨で塗ったようにかかってしまっていた。 Aさんによると、二十数人いたという参加者の多くは落胆した雰囲気で、仕方なさそうに撮影を始めたという。なかには、JRの社員に車両の移動を求めた参加者もいたが、聞き入れられることはなかった。