物効法改正案、閣議決定。荷待ち短縮、大手に義務。罰金最高100万円
政府は13日、物流の「2024年問題」に対応するため、物流総合効率化法(物効法)などの改正案を閣議決定した。一定規模以上の発荷主・着荷主、物流事業者にドライバーの荷待ち・荷役時間の削減やトラックの積載効率向上に向けた計画策定などを義務付ける。違反すれば最高100万円の罰則を科す。改正法の施行後3年で、荷待ち・荷役時間を1人当たり19年度比で年間125時間削減することを目指す。積載率向上により、輸送能力も同16%増加を図る。 物効法の正式名称も「流通業務総合効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)」に改める。改正案は今国会に提出する。 改正案では発着荷主とトラック事業者、トラック運送に関わる鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫の事業者に対し、例えばパレットの利用による荷役時間の短縮といった物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課す。元請けトラック事業者、利用運送事業者には荷主に協力する努力義務を課す。直接の発着荷主にならないフランチャイズチェーン本部も荷主に準じて取り扱う。 国は事業者の取り組み状況について、一定の判断基準に基づき指導・助言、調査・公表を行う。 荷主や物流事業者のうち、貨物取扱量や輸送能力、倉庫保管量が一定以上の事業者を「特定荷主」「特定貨物自動車運送事業者」「特定倉庫業者」などに指定。荷待ち時間短縮などを図る中長期の計画の作成や定期報告などを義務付け、中長期計画に基づく取り組みの実施状況が不十分であれば国が勧告・命令を行う。 特定事業者の貨物取扱量などの基準は検討中で、今後政令で定める。貨物取扱量の基準はトンベースとなり、日本国内の貨物量の半分をカバーできるようにする。 加えて、特定事業者のうち、荷主には「物流統括管理者」の選任を義務化する。責任者は中長期的な計画の作成やドライバーへの負荷低減などに関して、事業の運営方針の作成や事業の管理体制などの整備を行う。 最高100万円の罰金は、是正命令や責任者の選任義務への違反に科されることになる。 法案が成立し公布されれば、特定事業者に対する規定は2年、それ以外に対する規定は1年で施行される見通しだ。 ■多重下請けを是正 多重下請け構造の是正を図り、貨物自動車運送事業法も改正する方針。元請け事業者に対して実運送事業者の名称などを記載した「実運送体制管理簿」の作成を義務付ける。 運送契約の締結には、元請け事業者、利用運送事業者に付帯作業料、燃料サーチャージを含め提供する役務の内容とその対価などについて記載した書面交付などを義務にする。 下請けに出す行為の適正化も努力義務とし、一定規模以上の事業者には適正化に関する管理規定の作成、責任者の選任を義務付ける。 このほか、同法の改正案では軽トラック事業者に管理者選任と講習受講などを義務付け、安全対策を強化する。
日本海事新聞社