ブルース・ウィリスが孤軍奮闘!泥臭く戦う姿が魅力的な映画「ダイ・ハード」
ブルース・ウィリスを世界的俳優として知らしめた作品こそ「ダイ・ハード」だ。後にシリーズ化されて大人気作品となるダイ・ハードは"最も不運な男"ことジョン・マクレーンが主人公で、今となってはブルース・ウィリス以外のマクレーンは想像することさえできない。 【写真を見る】最も不運な男"ことジョン・マクレーンを演じるブルース・ウィリス 記念すべき最初の作品では、マクレーンが妻ホリー(ボニー・ベデリア)の勤める会社が開くクリスマスパーティーに参加するところから物語はスタートする。そんな中、突如として現れたハンス・グルーバー(アラン・リックマン)率いる武装集団が会場を占拠。出席者を人質に取る13名の武装集団を相手に、ただ一人難を逃れたマクレーンが奮闘するストーリーとなっている。 テロリストが登場する作品は数多くあるが、これほど優秀なリーダーに率いられるチームはあまり見たことがないだ。武装集団のリーダーであるハンスはとにかく頭が切れる。常に先手を打ち、先の状況を予想しながら戦略を立てている。SWATの突入作戦を難なく退け、FBIの停電さえ自身の計画に入れて金庫のロック解除に活かしてしまう。演じている若かりしアラン・リックマンの落ち着き払った雰囲気は恐怖すらあり、容赦なく人質を打ち殺す冷徹さを持ち合わせていることにも意外性はない。 そのハンスを唯一平常心でいられなくさせたのがマクレーンだった。ニューヨーク市警察本部の刑事であるが、彼はあくまでも普通の人間として描かれている(ダメージにはめっぽう強いが)。確かに銃も扱えるし肉弾戦も強いのだが、スーパーヒーローのようにバッタバッタとなぎ倒していくわけではない。常に血みどろになりながら泥臭く戦い、相手を退けていく。生身の人間であることは文字通り痛いほどに伝わってくるし、だからこそ応援したくなってしまう。 そんな人間らしいリアルな熱を感じさせてくれるのはやはりブルース・ウィリスが演じているからではないだろうか。マクレーンは苦境に陥れば隠すことなく弱音を吐き、表情も曇らせる。1作目だからということもあるかもしれないが、どこか頼りなささえ感じてしまう。それでも、マクレーンは減らず口を叩きながら、強大な敵に立ち向かっていく。そんな彼の心の表と裏を表情で見せられるのはウィリスしかいないと改めて感じさせる。 映画を通じて警察がとにかく無能でイライラしてしまうのだが、事件はマクレーン一人で解決したわけではない。特に大きな役割を担っていたのが巡査部長のアル・パウエル(レジナルド・ヴェルジョンソン)。最初にマクレーンのSOSに気づき、本作では相棒的な存在として活躍する。無線でビルの中にいるマクレーンと連絡を取り合いながら、時に過去のトラウマを明かし、時に励ます関係性は男同士の友情としても魅力的で、「ダイ・ハード」をより高度なレベルへと引き上げている。 そして、忘れてはならないのが物語冒頭に運転手として登場したアーガイル(デヴロー・ホワイト)。お調子者だが、本作においてはマクレーンの数少ない味方として存在している。最終局面では、偽の救急車で脱走を図る武装集団のメンバーに対してリムジンで突進し、ノックアウト。映画内では人知れずピンチを救っていたが、帰りのリムジン内でマクレーン夫妻に自慢気に話していたのではないかと想像するのも楽しい。 仲間の尽力もあって、人質や妻の救出に成功したマクレーン。不運な場所に居合わせてしまう彼がこの先どんな敵とどのような状況で対峙していくのか、1作目を見終えると思わず夢想してしまう。もちろん、やれやれという表情を浮かべるブルース・ウィリスの顔も脳裏に焼き付いている。 文=まっつ
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