米国債ショート、一握りのヘッジファンドに集中-IMFが警告
(ブルームバーグ): 国際通貨基金(IMF)は一部のファンドが米国債市場で大きなショートポジションを積み上げており、ストレス時に金融システムを不安定化させる恐れがあると警告した。
IMFは最新の国際金融安定性報告書(GFSR)で、「一握りのレバレッジの高いファンドが米国債先物のショートポジションの大半を占めているため、脆弱(ぜいじゃく)性が集中している」と指摘。
「これらのファンドの一部は、米国債市場やレポ市場にとってシステム上重要な存在となっている可能性があり、こうしたファンドが直面するストレスはより広範な金融システムに影響を及ぼし得る」としている。
IMFがこう論じたのは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が2020年に始まった際に米国債市場混乱の一因となったいわゆるベーシストレードに関するセクション。
ヘッジファンドは現物国債と先物価格のわずかな差を利用するベーシストレードを通じ、レポ市場から借り入れた多額の資金を使ってリターンを膨らませる。このレバレッジと短期資金への依存から、規制当局はヘッジファンドへの監視を強め、そして今、IMFはもう一つのリスク、つまりポジションの集中に懸念を示している。
IMFによると、昨年12月時点で先物市場における2年物米国債のショートポジションは、約半分が8人以下のトレーダーの手中にあった。これは19年末と同じような状況。
つまり、パンデミック初期の資金調達コスト急上昇がトレーダーにポジション解消を促し、これが債券のボラティリティーを押し上げる一因となり、金融市場全体が激動期に入る直前と似ている。
IMFは特定のファンド名には触れていないが、ブルームバーグは昨年12月、エクソダスポイント・キャピタル・マネジメントやミレニアム・マネジメント、シタデルを含む運用会社のベーシストレードについて報じていた。
ヘッジファンドも大き過ぎてつぶせず、ベーシス取引寡占で市場リスク