アレグロブリランテについて上原佑調教師（右）に話を聞いた栗栖記者

［ＧⅠ菊花賞＝２０２４年１０月２０日（日曜）３歳、京都競馬場・芝外３０００メートル］ 【新人記者・栗栖歩乃花のトレセン日記】 　出走する全馬が距離未経験の菊花賞（京都芝外３０００メートル）。だからこそ何が起きるか分かりません。アレグロブリランテ（牡・上原佑）は出走馬の中でも長距離経験が少なく、走ったことがあるのは２０００メートルまで。ただ、管理する上原佑調教師は「相手は強いけど（長い距離への）適性があれば何かが起きないか」と本音をもらします。一気に距離を延ばしてまで菊花賞に挑戦する理由に迫っていきたいと思います。 　実は、春ごろにはアレグロブリランテの長距離適性を陣営は見込んでいたそうです。具体的には「スプリングＳで２着になったときに、〝大目標は菊花賞〟とオーナーサイドに話しました」と春の早い段階からこの日を目標にして準備を進めていたことがうかがえました。 　スプリングＳに騎乗後、横山和騎手は「集中力がないところがある」とコメントしました。この点は、長距離を走るにあたって影響があるのでしょうか。上原佑師は「いい意味で集中力のないところが長距離になると生きるのではないか…とジョッキーとも話しました。無駄な力を見せないのでね」と話します。どういうことなのか詳しく聞いてみると「マイペースな気性的に、他の馬が来ても気にせず淡々と自分のペースを刻む形になれば」と上原佑師。短所ともとれるおっとりした面が、長距離にぶつけることで長所に変わりそうということなのです。 　母の全兄にアドマイヤジュピタ（天皇賞・春、阪神大賞典などで勝利）がいる血筋。「母系は長距離なので試してみたい」とトレーナーが話すように、血統背景を見ても長距離が合う可能性があります。 　ここまで話を聞いていると、長距離経験が一番少ないアレグロブリランテでも可能性が見えてきます。「もともとレースで乗りやすい馬で、精神的には問題ありません。その分、大きな変わりはありませんが状態は良さそうですね」と安定した精神面をキープ。それだけではなく、「体は大きくなっていて、今回は（前走より）プラス体重になると思います」と馬体の成長も見込めます。 　ここ２戦は展開や馬場が向かず人気を落とし気味なアレグロブリランテ。それにプラスして、経験のある最長距離から１０００メートルも延びた菊花賞を走る姿は想像しにくいのが本音です。ただ、管理する上原佑師の話を聞くと、この距離でも走れる下地を持ち合わせていることが分かりました。強い馬もたくさんいますが、みんな未経験と思えばアレグロブリランテにも大きな可能性があって、見応えのあるレースになりそう。まずは初の長距離コースをけがなく走ってきてね。