無痛分娩の流れを産婦人科医が解説 出産準備・当日・産後の流れについて説明
無痛分娩で無事出産した後の流れは? 自然分娩と比べてどのぐらい安静が必要? 産後の回復・肥立ちや注意点も聞きたい
編集部: 麻酔を使うと、分娩時や出産後もぼーっとしているのですか? 金子先生: そんなことはありません。痛みを伝える「感覚神経」のほうに麻酔の効果が表れやすく、体を動かす「運動神経」は麻酔の影響が少し出づらいので、痛みは軽減されていながら、分娩時に力むことなどはできます。 また、脳そのものに麻酔をかけるわけではないので、出産の喜びなどはきちんと感じることができます。 編集部: 自然分娩と比べて、産後に何か違いはありますか? 金子先生: 痛みに耐えるために使う体力が温存されますので、産後の疲れが非常に少なく済みます。もちろん出産なので疲れはしますが、一晩寝れば元に戻る程度だと思います。自然分娩の場合、そこに育児も重なってきて、3日~1週間くらいはお産の疲労が残ります。 編集部: では、無痛分娩後に注意する点などはありますか? 金子先生: 出産直後は麻酔の影響で脚の感覚が鈍かったり、尿意がわかりにくかったりしますが、分娩を終えてから2時間経てば麻酔の影響は完全に消えますので、その後の注意点は特にありません。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。 金子先生: 陣痛の痛みを恐怖として感じたり、陣痛の痛みに対する母体の反応で、出産自体が危険にさらされたりするリスクがありますが、無痛分娩を選択することでそれらのリスクを大幅に減らし、より快適に、より安全にお産を進めることができます。 ただそれは、「すべての人に無痛分娩が最適」ということではありません。妊娠中から、ご自分の分娩はどうなりそうかを想像したり、パートナーと話し合ったりして、さまざまな選択肢を検討することをお勧めします。 また、陣痛がきてからでも、ご自身の感覚に応じて臨機応変に無痛分娩を選択していくとよいでしょう。24時間365日無痛分娩に対応している病院で出産するほうが、選択肢は広がると思います。