石川に「戻らない」4割 県外公営住宅の避難者 県アンケート
●人口流出防止が急務 能登半島地震で県外の公営住宅に避難している県民を対象に県が実施したアンケート調査で、全体の約4割が石川に「戻らない」と回答していることが28日、分かった。能登の人口流出に拍車を掛ける懸念もあるため、県は、地域コミュニティーの中核を担ってきた寺社仏閣の再建支援やふるさとの情報提供などを通じて、地元に戻ってもらえる環境整備を急ぐ考えだ。 県によると、県外公営住宅への避難者数はピーク時で約700人に上り、27日時点では35都道府県に555人となっている。県が7月に実施したアンケート調査ではこのうち116人が回答した。 石川に「戻りたい(または戻りたいが戻れない)」が全体の51・7%に当たる60人だったのに対し、「戻らない予定」は37・9%(44人)、無回答は10・3%(12人)だった。 「戻りたい」と答えた60人のうち、33人が自宅の再建を希望。26人が仮設住宅への入居を検討し、1人が無回答だった。 回答者全体の約7割が60歳以上で、結婚などを機に県外に出た息子や娘の家に身を寄せた後、近くの公営住宅に移ったケースが一定数あるとみられる。 28日、県庁で会見した馳浩知事は、住民票のない避難先からでもふるさとの情報に触れ、行政サービスを受けられるよう、県独自の2地域居住モデルを構築する考えを強調した。市町の区域を越えて被災者情報を共有できる「広域被災者データベース」を活用する。「大規模災害、半島での災害、高齢者の多い地域での災害があった時のモデルを示したい」と語った。 県はこのほか、9月補正予算案で復興基金を初めて活用し、祭りなどを通じて地域コミュニティーの中核を担ってきた寺社仏閣の再建に最大1200万円を支援する方針としている。 ●知事「防災省必要」 会見で、政府の防災対応力を強化するために「防災省」が必要かどうかを問われた馳知事は「法改正や財政措置、官民連携に対応し、政策を推進する上であった方がいい」と答えた。 事前の備えから復興に向けたまちづくりに至るまで総合的な対応が可能になると指摘し、「省として大臣が付き、予算要求できる体制が必要だとこの8カ月間思ってきた」と語った。 被災地支援を続ける自衛隊が今月末で県内から撤収する見通しとなったことについては、27日に木原稔防衛相と電話し、謝意を伝えたことを明かした。 国土交通省が来年度政府予算の概算要求で、北陸新幹線敦賀以西延伸などの調査費に今年度比3億円増の19億円を計上したことは「与党の議論を受けての判断だ」と受け止め、早期全線開業を望む声の高まりが金額の上積みにつながったとの見方を示した。