石破政権で進む自民党内の分断 今後の発言で矛盾する「ブーメラン」連発 かつて〝窓際〟にいた閣僚のスキャンダル懸念も
【日本の解き方】 石破茂政権が発足した。党幹部や閣僚人事をみると、「挙党一致」にはほど遠い陣容となった。こうした顔ぶれで、石破首相の政権運営はどこに向かうのだろうか。 【石破新内閣の顔ぶれ】俳優、配管工、元刺客…異色の経歴持つ閣僚も 党人事は、副総裁に菅義偉前首相(菅グループ)、幹事長に総務会長だった森山裕氏(旧森山派)、総務会長に財務相だった鈴木俊一氏(麻生派)、政調会長に小野寺五典元防衛相(旧岸田派)、国対委員長に農水相だった坂本哲志氏(旧森山派)、選対委員長に小泉進次郎元環境相(無派閥)を充てた。 そして、副総裁を務めていた麻生太郎氏(麻生派)は最高顧問となった。 閣僚は19人中13人が初入閣となった。林芳正官房長官(旧岸田派)と斉藤鉄夫国交相(公明党)は再任された。 重要閣僚の加藤勝信財務相(旧茂木派)、岩屋毅外相(無派閥)、村上誠一郎総務相(無派閥)、中谷元防衛相(無派閥)という顔ぶれは、かなり石破政権の性格を表している。 加藤財務相は、総裁選の決戦投票では高市早苗前経済安保相に投票したとしている。「アベノミクスの継承」を掲げていたこともあり、高市氏ら保守派に配慮し、挙党態勢を印象付けたかったのだろう。 しかし、実際には高市氏と小林鷹之元経済安保相には党役員人事を拒まれており、自民党は分断されたままだ。 閣僚について、筆者の見るところ、高市氏に投じたのは加藤財務相のほか、城内実経済安保相(旧森山派)だけと思われる。こうした意味でも、石破政権の経済路線では、金融引き締め・財政緊縮のイメージは払拭できていない。 外交・安保の要である岩屋外相と中谷防衛相にはびっくりした。これまで両名とも防衛相時代にさまざまな問題が指摘されていたからだ。 さらに驚いたのは、村上氏の総務相起用だ。暗殺された安倍晋三元首相の国葬(国葬儀)への反対と欠席を表明し、安倍氏を「財政、金融、外交をボロボロにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」と言及したとして、1年間の党役職停止処分を受けた人だ。 石破内閣の陣容には、かつて〝窓際〟にいた人が多い。石破首相もかつて〝党内野党〟と呼ばれており、党内で批判ばかりしていたが、はたして立場を変えてもできるだろうか。